内分泌攪乱物質のリスクコミュニケーションに関する研究

文献情報

文献番号
200401246A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌攪乱物質のリスクコミュニケーションに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 肇子(慶應義塾大学(商学部))
研究分担者(所属機関)
  • 内山 巌雄(京都大学(工学研究科))
  • 大前 和幸(慶應義塾大学(医学部))
  • 楠見 孝(京都大学(教育学研究科))
  • 岡本 真一郎(愛知学院大学(心身科学部))
  • 杉本 徹雄(上智大学(経済学部))
  • 織 朱實(関東学院大学(法学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
20,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌攪乱物質のリスクコミュニケーションについて、実証的な検討を行い、主に厚生労働省が行うべきリスクコミュニケーションのあるべき姿について提案を行う。
研究方法
1.昨年度作成したガイドライン案について、構成を含め班内で検討を重ねた。2.昨年度試作したパンフレット案について、さらに班内で検討を加えて、最終案を作成した。掲載する情報についても、研究班内での成果を反映させ、また、Q&Aについても既存のものを見直した。3.上記ガイドライン案およびパンフレット作成の上で必要となったデータ(情報内容、言語表現の効果など)について、実験および調査を行った。4.上記成果の公開のために、行政担当者向けにはリスクコミュニケーショントレーニングセミナーを開催し、一般国民向けにはシンポジウムを開催した。
結果と考察
1.行政担当者向けガイドラインを完成した。2.一般向けパンフレットを完成した。3.調査および実験の主要な結果は以下の3点である。(1)健康リスク評価情報を伝達する際、対象によっては評価値という数値で説明する形式よりも、評価結果が一目で理解できるようにランク付けして説明する形式を望む可能性があることが示唆された。(2)内分泌攪乱物質という不確実なリスク問題においては、単に科学的データのみを示せばよいのではなく、それらの科学的データの扱い方に関する知識なども提供することが重要であることが示唆された。(3)これまでのマニュアルの分析と実験的研究の結果から、内分泌攪乱物質に関するコミュニケーションにおいて、言語表現の留意点が明らかになった。4.2004年12月10日スウェーデン国立防衛大学危機管理センターが実施しているトレーニングプログラム全体の紹介と、その一部の実演を、行政担当者向けに実施した。当日の参加者と共に、議論を行った。12月11日に一般国民向けシンポジウムを開催し、81名の参加者を得た。本研究班の研究成果を発表すると共に、参加者との議論も行った。
結論
行政担当者向けセミナーを実施し、ガイドラインを公表したことは、本研究班の3年の成果を、行政に生かすことができたという点で有意義であったと考えられる。また、一般国民向けにシンポジウムを実施し、パンフレットを作成してこれを公表したことは、研究成果を公表しつつ、内分泌攪乱物質についての知識を普及啓発したことも有意義であったと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200401246B
報告書区分
総合
研究課題名
内分泌攪乱物質のリスクコミュニケーションに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 肇子(慶應義塾大学(商学部))
研究分担者(所属機関)
  • 内山 巌雄(京都大学(工学研究科))
  • 大前 和幸(慶應義塾大学(医学部))
  • 楠見 孝(京都大学(教育学研究科))
  • 岡本 真一郎(愛知学院大学(心身科学部))
  • 杉本 徹雄(上智大学(経済学部))
  • 織 朱實(関東学院大学(法学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌攪乱物質のリスクコミュニケーションについて、実証的な検討を行い、主に厚生労働省が行うべきリスクコミュニケーションのあるべき姿について提案を行う。
研究方法
平成14年度は、実態把握(意識調査及び文献調査)を行うとともに、既存のリスクコミュニケーションマニュアルの収集および検討を行った。平成15年度は、上記意識調査および文献調査に基づき、リスクコミュニケーション実施の際に重要となる要因を抽出し、それに基づいて実験および調査を行った。これと並行して、リスクコミュニケーションガイドライン案および国民向けパンフレット案を作成した。企業に対しても調査および欧米のリスクコミュニケーションの実態調査を行った。平成16年度は、上記ガイドラインおよびパンフレットを完成させた。また、リスクコミュニケーショントレーニングセミナーを実施すると共に、国民向けのシンポジウムも開催した。
結果と考察
国民意識調査によると、内分泌かく乱物質という用語は約2/3の回答者が知らなかったが、俗称である「環境ホルモン」とい用語は約9割が知っていた。さらに、この問題に関して科学的に正確ではない知識が流布していた。この結果をもとに、潜在構造分析を用いて、一般国民の認知構造を検討した。その結果として、年代、性別によって、認知構造が異なることが明らかになった。このことは、情報提供の対象によって、コミュニケーションのあり方を変える必要があることを意味する。また、事例研究から、リスクコミュニケーションのツールとして、Margin of Exposure(MOE)を利用することが有望であることが示された。企業については、内分泌攪乱物質に関する科学的な証拠が十分ではなくても、消費者が不安を抱いているのなら何らかの対応をし、消費者に多少不自由を強いても、積極的に対応していくべきであると考えていることが明らかになった。さらに、欧米諸国の取組については、内分泌攪乱物質のみに着目するのではなく、総合的な化学物質管理施策の一部としてリスクコミュニケーションが実施されていた。
結論
以上の成果をまとめて作成したガイドラインおよびパンフレットは、いずれも実証的データを基に作成されたもので、従来のものよりも効果が期待できる。シンポジウムおよびセミナーとも本研究班の3年の成果を生かし、国民への普及啓発をはかる上で有意義であったと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-