内分泌かく乱化学物質PCBと子宮体がん発生リスクに関する症例対照研究

文献情報

文献番号
200401244A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質PCBと子宮体がん発生リスクに関する症例対照研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 潔(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
  • 佐藤洋(東北大学大学院医学系研究科環境保健学分野)
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学系研究科)
  • 新倉 仁(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
  • 岡村 智佳子(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
19,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
症例対照研究の手法を用いてヒトにおいて子宮体がんの発生と内分泌かく乱化学物質 PCB (Polychlorinatedbiphenyls)の関連性について検討すること。
研究方法
(1)東北大学病院で手術を施行し病理組織学的に子宮体がんと診断された者を症例とし、対照として人間ドックを受診した女性を1症例につき2人登録(目標は150人:300人)。PCB、カロテン、ビタミンC、ビタミンEの血中濃度を測定し、生活習慣に関する記述式アンケートと食物摂取頻度調査票を調査。(2)医学文献データベースPubMedを用いてヒト集団を対象とする疫学研究の原著論文を同定。(3)アンケート調査を解析することにより、子宮体がんの高危険因子を抽出。(4)HRGC/HRMSを用いたPCBs分析法により、異性体の適用可能性を検討。
結果と考察
(1)登録状況:事前説明を292名に実施し、その90%にあたる262名より同意が得られ、アンケートと検体採取は100%実施され研究当初から登録数は上昇している。(2)血液測定結果:症例と対照の2群間に統計学的な有意差を認めた物質はTri-PCBs、Tetra-PCBs、ビタミンEの3つであった。症例群ではTri-PCBs、Tetra-PCBs、Mono-PCBsが多く、βカロテンやビタミンEが少なかった。(3)子宮体がんの高危険因子の抽出:高BMI、高血圧、他臓器癌の既往あり、授乳歴がないこと、脂肪の摂取量が多いこと、炒め物や揚げ物の摂取頻度が多いことなどが高危険因子であった。(4)農薬(有機塩素系化合物)と子宮体がん発症に関する文献レビュー:有機塩素系化合物と子宮体がん発生についての疫学的な検討は9件報告されていた。いずれも子宮体がんの発がんリスクは示唆されていなかった。(5)高分解能GC/MSを用いた特定異性体によるPCB簡易分析法の検討:全異性体のTotal-PCBs濃度が推測可能であることが確認され簡易分析の有用性が示唆された。
結論
Tri-PCBs、Tetra-PCBs、Mono-PCBsの血中濃度が、対照で有意に高かったことから、子宮体がんの発症に有機塩素系化合物が関連していることが示唆された。今後、十分なサンプル数を確保することで、両者の関連がより明確になることが推察される。また、βカロテンやビタミンEは対照において有意に低値であったことから、食物摂取の面からは、βカロテンやビタミンEは子宮体がんの発症に関して抑制作用を有している可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200401244B
報告書区分
総合
研究課題名
内分泌かく乱化学物質PCBと子宮体がん発生リスクに関する症例対照研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 潔(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
  • 佐藤 洋(東北大学大学院医学系研究科環境保健学分野)
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学系研究科)
  • 新倉 仁(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
  • 岡村 智佳子(東北大学大学院医学系研究科泌尿生殖器学講座婦人学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
症例対照研究の手法を用いてヒトにおいて子宮体がんの発生と内分泌かく乱化学物質 PCB (Polychlorinatedbiphenyls)の関連性について検討すること。
研究方法
(1)東北大学病院で手術を施行し病理組織学的に子宮体がんと診断された者を症例とし、対照として人間ドックを受診した女性を1症例につき2人登録(目標は150人:300人)。PCB、カロテン、ビタミンC、ビタミンEの血中濃度を測定し、生活習慣に関する記述式アンケートと食物摂取頻度調査票を調査。(2)医学文献データベースPubMedを用いてヒト集団を対象とする疫学研究の原著論文を同定。(3)アンケート調査を解析することにより、子宮体がんの高危険因子を抽出。(4)HRGC/HRMSを用いたPCBs分析法により、異性体の適用可能性を検討。
結果と考察
(1)登録状況:事前説明を292名に実施し、その90%にあたる262名より同意が得られ、アンケートと検体採取は100%実施され研究当初から登録数は上昇している。(2)血液測定結果:症例と対照の2群間に統計学的な有意差を認めた物質はTri-PCBs、Tetra-PCBs、ビタミンEの3つであった。症例群ではTri-PCBs、Tetra-PCBs、Mono-PCBsが多く、βカロテンやビタミンEが少なかった。(3)子宮体がんの高危険因子の抽出:高BMI、高血圧、他臓器癌の既往あり、授乳歴がないこと、脂肪の摂取量が多いこと、炒め物や揚げ物の摂取頻度が多いことなどが高危険因子であった。(4)農薬(有機塩素系化合物)と子宮体がん発症に関する文献レビュー:有機塩素系化合物と子宮体がん発生についての疫学的な検討は9件報告されていた。いずれも子宮体がんの発がんリスクは示唆されていなかった。(5)高分解能GC/MSを用いた特定異性体によるPCB簡易分析法の検討:全異性体のTotal-PCBs濃度が推測可能であることが確認され簡易分析の有用性が示唆された。
結論
Tri-PCBs、Tetra-PCBs、Mono-PCBsの血中濃度が、対照で有意に高かったことから、子宮体がんの発症に有機塩素系化合物が関連していることが示唆された。今後、十分なサンプル数を確保することで、両者の関連がより明確になることが推察される。また、βカロテンやビタミンEは対照において有意に低値であったことから、食物摂取の面からは、βカロテンやビタミンEは子宮体がんの発症に関して抑制作用を有している可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-