内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する疫学研究

文献情報

文献番号
200401242A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する疫学研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター(予防研究部))
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学医学部(公衆衛生学教室))
  • 高橋 謙(産業医科大学産業生態科学研究所(環境疫学教室))
  • 花岡 知之(国立がんセンターがん予防・検診研究センター(予防研究部))
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有機塩素系化合物などの化学物質の暴露が、人の健康影響(生殖器系及び乳腺の悪性新生物、子宮内膜症、体内ホルモン環境への影響)と関連するか否かを疫学研究で検討することを目的とする。
研究方法
既存の前向きコホート研究において収集された保存血液を用いて、コホート内症例対照研究の手法により有機塩素系化合物などの血中レベルと乳がん罹患の関連を検討する。また、乳がんの多施設症例対照研究は、440症例を目標に症例収集を継続する。既に収集している子宮内膜症症例(腹腔鏡検査でStageⅡ以上)と対照(StageⅠ以下)について、エストロゲン合成・分解に関与している代謝酵素、レセプターの遺伝子多型について分析を行い、遺伝-環境相互作用を検討する。ビスフェノールAとフタル酸エステル類の男性内分泌系への影響を検証するための職域暴露集団の断面研究において、尿中代謝物と血中ホルモン類の分析を行い、その関連を検討する。疫学研究論文について知見をアップデートする。
結果と考察
乳がんのコホート内症例対照研究では、長期保存の影響について検討したのちに内因性エストロゲンの分析を行い、その後イソフラボノイドの分析を開始した。乳がんの多施設症例対照研究は、平成17年2月末までに428例を収集した。子宮内膜症の断面研究では、エストロンをより活性の強いエストラジオールに変換する酵素であるHSD17B1とAhRRの遺伝子多型頻度に統計学的に有意な差が認められた。また、ダイオキシン類暴露による影響をCYP1A1およびAhR 遺伝子多型が、ゲニステイン暴露による影響をERβ遺伝子多型が修飾していることを観察した。職域集団の断面研究では、フタル酸エステル類暴露者の尿中フタル酸モノブチルは中央値467.9μg/gクレアチニン、尿中フタル酸モノエチルヘキシルは中央値207.3μg/gクレアチニンであり、暴露レベルが高く、個人間変動が大きいことを確認した。2001年以降に出版されたヒト健康影響に関する疫学原著論文を同定し、これまでの疫学知見をまとめた。
結論
前年度から継続して、有機塩素系化合物などの化学物質の乳がんと男性内分泌系への影響を検討し、特に今年度は、子宮内膜症の断面研究において、ダイオキシン類暴露による影響をCYP1A1およびAhR 遺伝子多型が、ゲニステイン暴露による影響をERβ遺伝子多型が修飾していることを観察した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200401242B
報告書区分
総合
研究課題名
内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する疫学研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター(予防研究部))
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学医学部(公衆衛生学教室))
  • 高橋 謙(産業医科大学産業生態科学研究所(環境疫学教室))
  • 花岡 知之(国立がんセンターがん予防・検診研究センター(予防研究部))
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有機塩素系化合物などの化学物質の暴露が、人の健康影響(生殖器系及び乳腺の悪性新生物、子宮内膜症、体内ホルモン環境への影響)と関連するか否かを疫学研究で検討することを目的とする。
研究方法
既存の前向きコホート研究において収集された保存血液を用いて、コホート内症例対照研究の手法により有機塩素系化合物などの血中レベルと乳がん罹患の関連を検討する。また、乳がんの多施設症例対照研究は、440症例を目標に症例収集を継続する。既に収集している子宮内膜症症例(腹腔鏡検査でStageⅡ以上)と対照(StageⅠ以下)について、エストロゲン合成・分解に関与している代謝酵素、レセプターの遺伝子多型について分析を行い、遺伝-環境相互作用を検討する。ビスフェノールAとフタル酸エステル類の男性内分泌系への影響を検証するための職域暴露集団の断面研究において、尿中代謝物と血中ホルモン類の分析を行い、その関連を検討する。疫学研究論文について知見をアップデートする。
結果と考察
乳がんのコホート内症例対照研究では、長期保存の影響について検討したのちに内因性エストロゲンの分析を行い、その後イソフラボノイドの分析を開始した。乳がんの多施設症例対照研究は、平成17年2月末までに428例を収集した。子宮内膜症の断面研究では、エストロンをより活性の強いエストラジオールに変換する酵素であるHSD17B1とAhRRの遺伝子多型頻度に統計学的に有意な差が認められた。また、ダイオキシン類暴露による影響をCYP1A1およびAhR 遺伝子多型が、ゲニステイン暴露による影響をERβ遺伝子多型が修飾していることを観察した。職域集団の断面研究では、フタル酸エステル類暴露者の尿中フタル酸モノブチルは中央値467.9μg/gクレアチニン、尿中フタル酸モノエチルヘキシルは中央値207.3μg/gクレアチニンであり、暴露レベルが高く、個人間変動が大きいことを確認した。2001年以降に出版されたヒト健康影響に関する疫学原著論文を同定し、これまでの疫学知見をまとめた。
結論
有機塩素系化合物などの化学物質の乳がんと男性内分泌系への影響の検討、および文献レビューによる疫学知見のまとめを行った。特に子宮内膜症の断面研究では、ダイオキシン類暴露による影響をCYP1A1およびAhR 遺伝子多型が、ゲニステイン暴露による影響をERβ遺伝子多型が修飾していることを観察した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-