内分泌かく乱物質と大豆等既存食品の発育・癌化及び内分泌かく乱作用の比較

文献情報

文献番号
200401241A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱物質と大豆等既存食品の発育・癌化及び内分泌かく乱作用の比較
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
螺良 愛郎(関西医科大学 病理学第二講座)
研究分担者(所属機関)
  • 堀 伸二郎(関西医科大学 公衆衛生学講座)
  • 山田 久夫(関西医科大学 解剖学第一講座)
  • 西山 利正(関西医科大学 公衆衛生学講座)
  • 今井 俊介(奈良県保健環境研究センター)
  • 茶山 和敏(静岡大学 農学部 応用生物化学科)
  • 松岡 洋一郎(関西医科大学 病理学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
前年度の本研究でMycoestrogen(ZearalenoneやZeranol)に高いエストロゲン活性をみたため、実験動物におけるこれら化学物質の思春期前暴露実験で影響をみた。また、ヒトにおいて性差のある自己免疫疾患に対する食品関連化学物質の関与についても検討した。併せて、農薬のエストロゲン活性の有無ならびに複合作用につき分析した。
研究方法
ER結合試験により、ZearalenoneとZeranolのヒトエストロゲン受容体(hERalphaおよびbeta)への結合親和性の比較を行うとともに、子宮肥大試験により、エストロゲン作用を比較した。食品関連化学物質(Zearalenone、Zeranol、Genistein、Resveratrol、Bisphenol A等)の思春期前暴露によるエストロゲン標的臓器への影響はマウスやラットを用いて検討した。自己免疫病自然発症遺伝子改変MRLマウスを用いて食品関連化学物質の病態修飾効果を種々の指標より検討した。農薬に対しては、MtT/Seラット下垂体腫瘍細胞株を用いた細胞増殖を指標としてエストロゲン活性を測定した。
結果と考察
ZeranolはZearalenoneに比して強いエストロゲン活性をみた。Zeranolのラット思春期前暴露は雌性生殖器にエストロゲン作用を呈し、用量依存性に黄体欠如(無排卵性卵巣)をみたが、乳腺発癌には影響をみなかった。食品関連化学物質は自己免疫症の発症開始には影響をみなかったが、発症後の腎炎をはじめとした悪性進展への影響が示唆された。農薬では、有機リン系(プロチオホス、ピリプロキシフェン、ダイアジノン、トリクロホスメチル)や防カビ剤(チアベンダゾール)にエストロゲン活性を検出し、これらエストロゲン活性を有する2種の化学物質を組み合わせたところ、エストロゲン活性の増強をみた。
結論
Zeranolの思春期前暴露はマウス・ラットともに不妊(無排卵性卵巣)が示唆された。また、乳癌増悪作用はみなかった。さらに、5種の農薬にエストロゲン活性を検出し、エストロゲン活性を有する2種の農薬を組み合わせるとエストロゲン活性の増強をみたが、残留農薬分析による濃度を勘案すると、通常の農薬使用では、人体に影響をおよぼす濃度を下まわっていた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200401241B
報告書区分
総合
研究課題名
内分泌かく乱物質と大豆等既存食品の発育・癌化及び内分泌かく乱作用の比較
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
螺良 愛郎(関西医科大学 病理学第二講座)
研究分担者(所属機関)
  • 堀 伸二郎(関西医科大学 公衆衛生学講座)
  • 山田 久夫(関西医科大学 解剖学第一講座)
  • 西山 利正(関西医科大学 公衆衛生学講座)
  • 今井 俊介(奈良県保健環境研究センター)
  • 茶山 和敏(静岡大学 農学部 応用生物化学科)
  • 松岡 洋一郎(関西医科大学 病理学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品関連化学物質のエストロゲン活性を比較し、実験動物における周生期暴露実験で作用を検証した。また、ヒトにおいて性差をみる自己免疫疾患との関連についても検討した。併せて、農薬のエストロゲン活性の有無ならびに複合作用につき分析した。
研究方法
ラットエストロゲン受容体(rER)導入酵母Two-hybrid法とヒトER(hERalphaおよびbeta)結合試験により食品関連化学物質を評価した。食品関連化学物質の周生期暴露は、マウスとラットのエストロゲン標的臓器に対する影響とともに乳腺発癌についても検討した。食品関連化学物質の自己免疫疾患に対する修飾効果は、遺伝子改変MRLマウスを用いて検討した。農薬に対しては、E-CALUX法やMtT/Seラット下垂体腫瘍細胞株の細胞増殖活性を指標に評価した。
結果と考察
食品関連化学物質のエストロゲン活性はZearalenoneやZeranolが高かった。なお、イソフラボン類は、hERbetaに対する結合親和性がhERalphaよりも強かった。食品関連化学物質の出生前・思春期前暴露は、ZearalenoneやZeranol投与動物では黄体欠如をみた。ラット思春期前暴露では乳癌増悪はみなかった。食品関連化学物質は自己免疫疾患の発症開始には影響はなかったが、腎炎をはじめとした悪性進展に関与している可能性があるため、さらに検討する。32農薬中トルクロホスメチル、プロチオホス、ダイアジノン、チアベンダゾール、ピリプロキシフェンの5種にエストロゲン活性がみられ、抗エストロゲン活性は、クロルフルアズロンにみた。なお、エストロゲン活性のみられた農薬を組み合わせたところ、単独の場合よりエストロゲン活性が増強するものがあった。
結論
Mycoestrogen(Zearalenone、Zeranol)に高いエストロゲン活性をみとめた。ラット・マウスへの周生期Zearalenone暴露では無排卵性卵巣が認められ、ラットではアメリカ人の1日最大暴露量に相当する量の投与で、マウスではその100倍量で生じた。なお、ヒト摂取量を考慮すると食品関連化学物質に乳癌促進作用はみなかった。32農薬中5種にエストロゲン活性をみとめ、これらを組み合わせると増強効果をみたが、残留農薬分析による濃度を勘案すると、通常の農薬使用では、ヒトに影響をおよぼす濃度を下まわっていた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-