試料分析の信頼性確保と生体暴露量のモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200401239A
報告書区分
総括
研究課題名
試料分析の信頼性確保と生体暴露量のモニタリングに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 恒久(東海大学 医学部専門診療学系産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 裕之(星薬科大学 薬品分析化学教室)
  • 岡 尚男(愛知県衛生研究所 衛生化学部)
  • 堀江 正一(埼玉県衛生研究所 食品衛生科学部)
  • 塩田 邦郎(東京大学大学院 農学生命科学研究科 細胞生化学)
  • 木村 穣(東海大学 医学部基礎医学系分子生命科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
79,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、分析法の信頼性確保とヒト生体暴露量モニタリングを実施するうえで多角的なアプローチによる検討を行うとともに、化学物質のヒト健康影響における代謝の側面を、遺伝子多型を含めた分子のレベルまで掘り下げて検討し、総合的な研究成果の達成を目的とした。
研究方法
① 生体試料中のフタル酸エステル類、ビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノールの分析法を開発し、その信頼性を検証した。動物実験環境からの暴露量を評価するため動物飼料及び床敷中の各化学物質、17β-エストラジオール、および植物エストロゲンの分析法を開発し測定した。
② 周産期試料(母体血、母乳、尿、臍帯血)と生殖年齢婦人の試料(腹水、血液)を採取し分析を行った。また提供者の社会的、環境的背景を記録し、疫学的分析の資料とした。
③ラット、モルモットおよびマウスの臓器、細胞を用い、妊娠母体における、化学物質の解毒・代謝機能、胎盤形成への影響を解析した。
④ 子宮内膜症発症における化学物質の関与が報告されている。本疾患の候補遺伝子として、エスロゲン受容体、チトクロム・グルクロン酸抱合酵素、アリルハイドロカーボン受容体遺伝子を選定し遺伝子多型を解析した。また子宮内膜症に特異的な対立遺伝子を分子遺伝学的および統計遺伝学的に解析し、各一塩基多型(SNP)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度を解析した。
結果と考察
①生体試料中フタル酸エステル類、BPA、ノニルフェノールの分析法を開発した。動物飼料中からも化学物質および植物エストロゲンが検出され、in vivo実験では、実験環境からの化学物質暴露を考慮する必要があると考えられた。
②ヒト生体試料中からは特に問題となる濃度の検出はなかった。
③グルクロン酸未抱合の化学物質は胎児側に移行することを明らかにした。また、フタル酸エステルはゲノムDNAメチル化に変化を与え、一過性の暴露でもその後の遺伝子発現に影響を及ぼす可能性が示唆された。
④子宮内膜症疾患感受性遺伝子の遺伝子多型を明らかにした。また健常者と子宮内膜症患者におけるタイピングを行った結果、数種の遺伝子型、遺伝マーカーおよび一つの対立遺伝子で統計的な有意差を示した。
結論
本研究により内分泌かく乱化学物質の分析方法を確立し、生体試料等の分析を行った。また化学物質の分子レベルでの影響の解明を試み、有意な結果を得た。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200401239B
報告書区分
総合
研究課題名
試料分析の信頼性確保と生体暴露量のモニタリングに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 恒久(東海大学 医学部専門診療学系産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 裕之(星薬科大学 薬品分析化学教室)
  • 岡 尚男(愛知県衛生研究所 衛生化学部)
  • 堀江 正一(埼玉県衛生研究所 食品衛生科学部)
  • 塩田 邦郎(東京大学大学院 農学生命科学研究科細胞生化学)
  • 木村 穣(東海大学 医学部基礎医学系分子生命科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分析法の信頼性確保とヒト生体暴露量モニタリングを実施するうえで多角的なアプローチによる検討を行うとともに、化学物質のヒト健康影響における代謝の側面を、遺伝子多型を含めた分子レベルまで掘り下げて検討し、総合的な研究成果を得る。
研究方法
①生体試料中のフタル酸エステル類、ビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノールの分析法を開発し、その信頼性を検証。動物実験環境からの暴露量を評価するため動物飼料及び床敷中の各化学物質、17β-エストラジオール及び植物エストロゲンの分析法を開発し測定。
②周産期試料(母体血、母乳、尿、臍帯血)と生殖年齢婦人の試料(腹水、血液)を採取・分析。また提供者の社会的、環境的背景を記録し、疫学的分析の資料とした。
③ラット、モルモット及びマウスの臓器、細胞を用い、妊娠母体における、化学物質の解毒・代謝機能、胎盤形成への影響を解析。
④子宮内膜症発症に化学物質の関与が報告されている。本疾患の候補遺伝子として、エスロゲン受容体、チトクロム・グルクロン酸抱合酵素、アリルハイドロカーボン受容体遺伝子を選定し遺伝子多型を解析。また本疾患に特異的な対立遺伝子を分子遺伝学的及び統計遺伝学的に解析し、各一塩基多型(SNP)の対立遺伝子頻度及び遺伝子型頻度を解析。
結果と考察
①生体試料中フタル酸エステル類、BPA、ノニルフェノールの分析法を開発した。動物飼料中からも化学物質及び植物エストロゲンが検出され、in vivo実験では、実験環境からの化学物質暴露を考慮する必要がある。
②ヒト生体試料中からは特に問題となる濃度の検出はなかった。
③グルクロン酸未抱合の化学物質は胎児側に移行することを明らかにした。また、フタル酸エステルはゲノムDNAメチル化に変化を与え、一過性の暴露でもその後の遺伝子発現に影響を及ぼす可能性が示唆された。
④子宮内膜症疾患感受性遺伝子の遺伝子多型を明らかにした。また健常者と子宮内膜症患者におけるタイピングを行った結果、数種の遺伝子型、遺伝マーカー及び一つの対立遺伝子で統計的な有意差を示した。
結論
超微量の、かつ、容易に汚染をおこす化学物質の分析法を確立したことは意義深い。in vivo実験での実験環境からの化学物質暴露の防止と考察は、十分に留意されなければいけない。
また化学物質の分子レベルでの影響の解明を試み、有意な結果を得た。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-