文献情報
文献番号
200401236A
報告書区分
総括
研究課題名
アロマターゼ高発現KGN細胞および三次元共焦点顕微鏡による内分泌代謝撹乱物質のスクリーニングシステムの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
名和田 新(九州大学大学院 医学研究院(病態制御内科))
研究分担者(所属機関)
- 柳澤 純(筑波大学応用生物化学系食品生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1) ELISA法によるアロマターゼ活性を指標とした化学物質スクリーニングと同定物質のin vivo 評価 (2) ERaの作用機構の研究とERαの作用ステップの網羅的スクリーニング系の構築
研究方法
(1) 卵巣顆粒膜細胞(KGN)に化学物質を添加後、ELISA法によるアロマターゼ活性を指標に産業化学物質上位200種類をスクリーニング (2)雌SDラットの血中estradiol (E2) 濃度並びに卵巣、子宮重量に対する化学物質の影響を検討(3)SF-1依存性のヒトaromataseの転写活性に及ぼす化学物質のスクリーニング (4) HeLa細胞の核抽出液より、ERαにリガンド依存的に結合または解離する蛋白質群を精製し、性状を解析。 (5) ERαに結合する蛋白質の結合領域を合成ペプチドで作成し、プレート上に結合させ、精製ERα蛋白質とペプチドへの結合度をELISA法にて検討。
結果と考察
(1) 新規アロマターゼ活性測定系を用い、新たなアロマターゼ活性修飾物質を複数を見いだした。本法は3H-水法に比べ、感度、簡便性の点で優れ、大量検体のスクリーニングに有用性が期待できる。(2)除草剤のatrazine とsimazineはSF-1 依存性にアロマターゼ転写活性を増強させ、その作用機序の一つとして抑制蛋白のDAX-1の解離を促した。(3)in vitroで アロマターゼ活性を上昇、低下させたbenomylと bumetriozolはin vivoにおける子宮、卵巣重量を指標とする評価系では効果を認めなかった。In vivo 作用は弱いのか、実験方法の問題か、今後の課題 (4) ERαの分解に関わる因子、CHIPを同定した。CHIPは変異ERαを選択的に分解することから、ERαの品質管理に関与していると考えられた。また乳癌におけるCHIP mRNA発現量は低下していたことから、ERαの品質管理機構の破綻は、悪性化につながる可能性が示された。 (5)エストロゲンの濃度依存的にERαがプレート上のERα結合蛋白質の結合領域にトラップされることが明らかとなった。ERα転写活性化因子・抑制因子・分解因子との結合を一度の実験で網羅的スクリーニング系の構築が可能である。
結論
エストロゲン合成並びにERα作用系の新しいスクリーニング系を確立し、除草剤のatrazine とsimazineの作用機序の一端を解明。
公開日・更新日
公開日
2005-04-22
更新日
-