環境ホルモン受容体センシング法による内分泌かく乱性の順位予測

文献情報

文献番号
200401235A
報告書区分
総括
研究課題名
環境ホルモン受容体センシング法による内分泌かく乱性の順位予測
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
下東 康幸(九州大学大学院(理学研究院))
研究分担者(所属機関)
  • 野瀬 健(九州大学大学院(理学研究院))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
29,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ホルモン受容体は、リガンドが結合していない空(から)の受容体(アポ型)と、結合している受容体(ホロ型)とはコンホメーションが大きく異なる。また、ホロ型でも、アゴニストが結合した場合とアンタゴニストが結合した場合でコンホメーションは異なる。我々は、こうしたコンホメーションの違いを感知・センシングする抗体(センシング抗体)の調製に成功した。
本研究では、センシング抗体を用い、受容体結合性、ホルモン活性、抗ホルモン活性を特定のパラメータを解析することで得て、これらを統合的に評価し、化学物質の内分泌かく乱作用性を高精度に予測する方法を確立し、その順位付けを行うことを目的とする。
研究方法
 センシング抗体を、合成抗原ペプチドを用いてウサギ・ポリクローナルおよびマウス・モノクローナル抗体として調製し、これらを用いて、化学物質の内分泌かく乱作用性の順位付けを競合ELISAを基本とする方法で行う。
結果と考察
 エストロゲン受容体のアゴニスト誘起のコンホメーション変化をセンシングするモノクローナル抗体の1つを用いて45種類の化学物質について順位付けに成就した。こうして、モノクローナル抗体を用いた順位予測法を確立した。昨年度までに得たポリクローナル抗体での結果とほぼ同様の結果であった。
 このセンシング抗体法は核内受容体の全てに適用可能な方法論として期待される。そこで一般の核内受容体に適用すべく、アンドロゲン受容体などのセンシング抗体の調製を行い、これを成就するとともに、数十種類の化学物質のアッセイを実施した。また、これら受容体タンパク質のクローニング、発現なども実施した。
 一方、ショウジョウバエの食餌継代による化学物質影響試験の基礎解析において、メスにノニルフェノールを用いた場合、食餌開始を幼虫と成虫で違えると、両者で産卵数に著しい差異が現れ、特に、幼虫開始の場合顕著に減少する興味深い結果が判明した。これは内分泌かく乱作用が幼生においてより著明であることを示唆するものであり、卵母形成に影響が及んでいる結果と考えられる。今後、さらに多様な化学物質について系統的な試験、検討が必要である。

 一方、ショウジョウバエの食餌継代による化学物質影響試験の基礎解析において、メスにノニルフェノールを用いた場合、食餌開始を幼虫と成虫で違えると、両者で産卵数に著しい差異が現れ、特に、幼虫開始の場合顕著に減少する興味深い結果が判明した。
結論
 ポリおよびモノクローナル抗体を用いたセンシング抗体を用いての化学物質の受容体応答有効濃度と最大抗体応答性に関する相対的な順位付けに成就した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200401235B
報告書区分
総合
研究課題名
環境ホルモン受容体センシング法による内分泌かく乱性の順位予測
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
下東 康幸(九州大学大学院(理学研究院))
研究分担者(所属機関)
  • 坂口和靖(九州大学大学院(理学研究院)、現*北海道大学大学院(理学研究科))
  • 野瀬 健(九州大学大学院(理学研究院))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ホルモン受容体は、リガンドが結合していない空(から)の受容体(アポ型)と、結合している受容体(ホロ型)とはコンホメーションが大きく異なる。また、ホロ型でも、アゴニストが結合した場合とアンタゴニストが結合した場合でコンホメーションは異なる。我々は、こうしたコンホメーションの違いを感知・センシングする抗体(センシング抗体)の調製に成功した。
 本研究では、センシング抗体を用いたアッセイ結果の特定パラメータ解析から受容体結合性、ホルモン活性、抗ホルモン活性の値を得て、これらを統合的に評価し、化学物質の内分泌かく乱作用性を高精度に予測する方法を確立し、その順位付けを行うことを目的とする。
研究方法
 センシング抗体として、化学合成した抗原ペプチドを免疫して、ウサギ・ポリクローナルおよびマウス・モノクローナル抗体を調製した。これらを用いた競合ELISA法で化学物質をアッセイし、内分泌かく乱作用性の順位付けを行った。
結果と考察
 エストロゲン受容体について、化学物質が誘起するコンホメーション変化のセンシングアッセイに成功した。モノクローナル抗体を用いて45種類の化学物質について、また、ポリクローナル抗体を用いて62種類の化学物質について内分泌かく乱作用性順位予測法が確立された。両者でほぼ同様の結果が得られた。
 センシング抗体法は核内受容体の全てに適用可能な方法論として期待される。そこで一般の核内受容体へもセンシング抗体法を適用すべく、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体に対するセンシング抗体法に取組み、抗体の調製に成就するとともに、センシング抗体法の確立に成功した。数十種類の化学物質のアッセイを実施し、また、アッセイ法の最終的準備のため、これら受容体タンパク質のクローニング、発現なども実施した。
 ショウジョウバエのノニルフェノールを用いた食餌継代実験において、幼虫時より開始した場合のみ産卵数に顕著な減少が見られる興味深い結果が得られた。これは内分泌かく乱作用が幼生においてより著明であることを示唆するものであり、卵母形成に影響が及んでいる結果と考えられる。今後、さらに多様な化学物質について系統的な試験、検討が必要である。
結論
 ポリおよびモノクローナル抗体を用いた核内受容体コンホメーション変化センシング抗体法を用いての化学物質の受容体応答有効濃度と最大抗体応答性に関する相対的な順位付けに成就した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-