医療機関における血液製剤の適正使用の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200401233A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における血液製剤の適正使用の推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清水 勝(杏林大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 巌 康秀(杏林大学 医学部)
  • 高本 滋(愛知医科大学 輸血部)
  • 比留間 潔(都立駒込病院 輸血・細胞治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 静注用免疫グロブリン(IVIG)の指針の在り方を検討し,さらに現行指針の血小板輸血と術中輸血の問題点に検討を加え,指針の改正に資する。
研究方法
各製剤の使用量の多い疾患或は病態を対象とした。
1) IVIGの適応:自己免疫疾患の使用状況を3ヶ月間前方視的に、また各診療科長を対象に重症感染症時のIVIG投与時の判断基準をアンケート調査した。
2) 予防的血小板輸血:5日以上血小板減少の見込まれる症例に,1回5単位(u)投与の安全性を前方視的に、さらに5u輸血の多いA病院での症例を後方視的に検討した。
3) 術中輸血:全国の麻酔科指導病院に現行の使用指針の術中での遵守状況,指針への見解等を調査した。また,血清乳酸値が術中輸血のトリガー値としての有益性を後方視的に検討した。
結果と考察
1) IVIGの適応: 自己免疫疾患では,適応疾患の拡大傾向と需要量の増加が認められた。重症感染ヌでの投与開始は,発熱,発熱期間,白血球数,CRP値,血液培養,抗生物質への反応と日数による判断が有意に高率であった。2) 予防的血小板輸血:12例に5u 60回,10u 33回投与され,平均トリガー値は各々約2万/μl,平均血小板増加数は各々0.27万, 1.08万/μl,平均CCI,平均輸血間隔に差はなかった。A病院では急性白血病30例の化学療法時に計285回の5u を安全に投与し得た(平均トリガー値1.47x104/μl)。 3) 術中輸血:RCC,FFP,PCの各指針は妥当との見解が60数%であったが、代用血漿をRCCに先行使用するが90%以上,FFP投与時の凝固検査は実情にあわない,人工心肺時のPC投与基準は厳し過ぎるが各々80%,40%であり、さらに全血は43%が必要とし,理由は凝固因子の補充であり,急速な大量出血時の対処法が必要との見解が多かった。また,術中のRCC輸血の開始に血清乳酸値が役立つ可能性が示された。
結論
IVIGの自己免疫疾患では、今後の適応の拡大傾向に対処する必要がある。重症感染症例への適応の判断基準に基づく前方視的な検討が必要である。予防的血小板輸血でトリガー値を1から2万/μlとして、一回投与量を5uとする対照群との比較が必要でる。術中輸血の現行指針は約2/3の施設が支持していたが,全血の必要性との根拠には問題がある。血清乳酸値の術中RCC輸血のトリガー値についての前方視的な検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-