献血により生じる健康被害の発生防止に関する研究

文献情報

文献番号
200401232A
報告書区分
総括
研究課題名
献血により生じる健康被害の発生防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学 政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中村榮一(東京都赤十字血液センター)
  • 佐竹正博(東京都赤十字血液センター)
  • 金光公浩(日本赤十字社血液事業本部)
  • 松崎道男(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 輸血部)
  • 比留間潔(東京都立駒込病院 輸血・細胞治療科)
  • 矢島新子(厚生戦略研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、献血者の採血に伴う有害事象の発生を防止し、安全性を向上するとともに何らかの健康被害が生じたときの救済制度を検討することを目的としている。
研究方法
内外の医療行為による健康被害の救済制度に関する資料を入手し(今回はフランスの資料)、その文献的考察を行うとともに、16、17歳を対象とした400mL導入研究を進める際の安全性データを集めるために、医療現場での低年齢者を対象とした自己血採血に伴う副反応について、その態様や発生状況、ならびに誘因等の分析をおこなった。さらに、若年者と高齢献血者の安全性の指標の検討には、実際の献血者の身体成長指標でもあるアルカリフォスファターゼ(ALP)値と高感度化したCRP(high-sensitive CRP、h-CRP)値を分析した。
結果と考察
自己血貯血時の有害事象の事例であるが、15歳以下が0.5%、70歳以上が28.5%含まれていたが、献血適格年齢を外れるこれらの症例で、VVRなどの有害事象が特に多いということはなかった。16歳から20歳では、加齢とALPの平均値とは逆相関し、その傾向は男性で顕著であり、16歳、17歳の一部は成長期の過程にあると考えられた。CRPであるが高感度化したCRP(high-sensitive CRP ,h-CRP)検査が献血者における心血管疾患の発症の予測因子となりうるかを評価した結果は、h-CRP値(ng/ml)は男性で平均882±2,164、女性で平均678±2,978、中央値は各々381、293と低値に偏った幅の広い分布を示した。献血者等の救済制度については、フランスでは2002年3月4日に「不測の医療事故が発生した場合の示談と補償の制度に関する法律」が誕生し、立法措置により根本的な解決を見るに至った。
結論
今回の検討結果では、16歳、17歳の献血者の一部はALP値から判断すると未だ骨成長の過程にあると判断された。400ml献血の年齢の見直しを行うには、成長過程にある16歳、17歳の献血者のALP高値例と欠乏状態との関係をよく検討しなければならない。また、フランスでは救済制度について積極的な国家の関与が見られる。わが国でも国家の関与は不可欠であろう。

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-