抗毒素製剤の効率的製造方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401231A
報告書区分
総括
研究課題名
抗毒素製剤の効率的製造方法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 元秀(国立感染症研究所細菌第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木次雄(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 千葉 丈(東京理科大学 基礎工学部)
  • 野崎周英((財)化学及び血清療法研究所 第一研究部)
  • 向本雅郁(大阪府立大学大学院農学生命科学研究科)
  • 黒澤良和(藤田保健衛生大学総合医科学研究所)
  • 岩城正昭(国立感染症研究所細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウマ抗毒素製剤に替わるヒト化(型)抗体の製造開発を目的として、有効性、安全性および生産性の確保を念頭に短期間で大量の製剤を安定供給するために、現在医薬品等のヒト型抗体の開発に用いられている手法により基礎的研究を行う。
研究方法
(1)ボツリヌス毒素中和活性のあるマウスモノクローナル抗体を選択し、抗体のV領域のアミノ酸配列を決定し、これを基にコンピュータ上で立体構造モデルを作製する。さらに、ヒト化抗毒素モノクローナル抗体V領域遺伝子を作製し、発現ベクターに組込み毒素に対するマウスヒトキメラ抗体を発現させる系を確立する。
(2)トランスクロモマウス(KMマウス)に沈降型ジフテリアトキソイドを注射し、脾細胞を用いてハイブリドーマを作製し、ジフテリア毒素中和能を有する抗体を作製する。
(3)ボツリヌストキソイドで免疫した献血ボランティアより成分血液を採取し、mRNAを抽出し抗体ライブラリーを作製し、中和活性を有する抗体を作製する。
(4)日米欧規制当局から出ているバイテク製剤や動物由来原料を用いる医薬品の製造に適用される各種ガイドラインや規制当局者等の講演内容を調査した。
(5)国内外で使用しているヒト血漿由来製剤への移行状況を調査するとともに英国のNCLであるNIBSCでの品質管理の研究の進展を調査した。
結果と考察
(1) 得られたV領域遺伝子をヒト定常領域遺伝子と結合させ、発現ベクターに組み込みキメラ抗体産生細胞を作製した。キメラ抗体は中和活性を示し、これらの中から抗A型抗毒素に対する候補抗体を選定する。
(2) ボツリヌス毒素中和抗体を持つボランティアの成分血より抗体ライブラリーを作製後、スクリーニングして毒素に結合する多数の抗体のうち、4種類が毒素中和活性を示した。
(3) ジフテリアトキソイドで免疫されたKMマウスのジフテリア毒素に対するヒトIgGモノクローナル抗体が得られた。
(4)開発したヒト抗体の有効性は、前臨床試験と第一相試験は可能であるが、第二相、第三相試験の臨床試験実施は、わが国では困難なことが予想された。
(5)海外では未だに大半がウマ由来製剤であった。また、欧州では実験動物の使用に関する規制が強く、改良法が研究されている。
結論
ボツリヌス毒素に対しては、米国のバイオテロ以降、各国ではウマ抗毒素製剤の調達が急務となっている。マウスーヒトキメラ抗体およびヒト抗体ライブラリーの試験系で中和活性を有するA型ボツリヌス毒素抗体が確認され、高力価の抗体作出基盤が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-