新型インフルエンザ用ワクチンの有効性・安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200401230A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザ用ワクチンの有効性・安全性確保に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代眞人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 河岡義裕(東京大学医科学研究所)
  • 今井正樹(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 二宮 愛(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 長谷川秀樹(国立感染症研究所感染病理部)
  • 神谷 齊(国立病院機構三重病院)
  • 水野喬介((財)化学及血清療法研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2004年初頭から東アジア諸国で起こった高病原性H5N1鳥インフルエンザの流行は現在も続いており、それによる感染者および死亡者が続出している。このことから、このウイルスに起因する世界的大流行が強く危惧されている。
そこで、本研究では安全かつ有効な新型ウイルスワクチンの緊急開発・大量製造と接種体制を確立するために、リバースジェネティクス法(RG法)を駆使した弱毒化H5N1ワクチン株の供給システムの構築と改良および国際安全基準の策定、皮下および経鼻接種用アジュバントワクチンの開発と効果の検証などを行い、ヒトでの使用における安全性確保の基礎研究を行なう。
研究方法
・A/PR8株を骨格とするプラスミドを用いたRG法で、H5N1国内分離株から弱毒化ウイルスの作製
・各種アジュバント添加H5N1ワクチンをマウスへ接種し、免疫原性、感染防御効果の評価
・GMP基準に準拠したワクチン製造用細胞株の開発
・小児を対象とした現行の不活化HAワクチンの接種量と免疫応答の解析
結果と考察
1 WHOが推奨する新型インフルエンザワクチン作製ガイドラインの更新に参画した。
2 RG法を用いて2004年のH5N1国内分離株(A/ch/山口/2004株)から弱毒化ワクチン株の作製に成功した。
3 マウスを用いてアルムアジュバント添加H5N1ワクチンの免疫応答について検討し、アジュバント添加により抗原量を1/10に減少できることを示した。また、2003年の分離株由来のワクチンは最近のH5N1分離株に交叉防御効果を示すことを明らかにした。
4 局所免疫を誘導できる経鼻接種用アジュバントの検討を行い、Poly(I:C)にキチン微粒子を混合させたものが有効であることをマウスで実証した。
5 RG法で作製したワクチン株の実用化のために、RG法に用いるGMP基準に準拠した培養細胞株を検討し、その安全性試験を開始した。
6 小児を対象として現行の不活化HAワクチンの接種量と抗体応答および副反応について検討し、その関係を明らかにした。
結論
1.RG法によるワクチン株作製ガイドラインを更新した。
2.RG法で2004年のH5N1国内分離株から試作ワクチンを作製した。
3.H5N1ワクチンにアルムアジュバントおよび経鼻接種用アジュバント添加によりワクチン抗原量の減少とワクチン効果の増強が可能である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-22
更新日
-