救急治療薬としてのヒト抗体調製に関する研究

文献情報

文献番号
200401224A
報告書区分
総括
研究課題名
救急治療薬としてのヒト抗体調製に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
黒澤 良和(藤田保健衛生大学(総合医科学研究所免疫学研究部門))
研究分担者(所属機関)
  • 奥野良信(大阪府立公衆衛生研究所(感染症部))
  • 野崎真敏(沖縄県衛生環境研究所(衛生科学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、各種疾患に対する治療薬としてのヒト抗体単離調製法を開発し、具体的に医療現場へ製剤化して送り出す道筋を確立する。今までに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ロタウイルス、ジフテリア毒素に対する治療薬として充分強い中和活性を示す抗体の作製に成功した。本プロジェクトではantigen-driftにより抗原性を毎年変化させるインフルエンザウイルスに対する治療薬としてのヒト抗体開発、および現在ウマ血清が用いられているハブ毒素に対して代替可能なヒト抗体開発を目指す。
研究方法
日々多くの感染症患者に接する3名の小児科医(60歳、45歳、30歳)から供与(成分献血)されたリンパ細胞を用いて作製した3組の抗体ライブラリーを用いて、1968年のインフルエンザ株(A/Aichi/2/68)および2004年の株(A/(Wyoming/3/03)を抗原にして抗インフルエンザHA抗体を単離し、その性質を解析する。ハブ毒出血因子HR1、HR2、phospholipase 2、[TAME]-esteraseに対する中和抗体を単離し、その混合物の抗毒素活性を解析する。
結果と考察
A/Wyoming/3/03株を抗原として得られた中和抗体には多種類(100種を越える)あり、その解析を通してヒトの体内でインフルエンザウイルスに対して幾つの中和エピトープが存在するか明らかになると期待される。A/Aichi/2/68を抗原として得られた抗体の中には、A/Wyoming/3/03を中和する抗体が含まれ、40年間のantigen-driftをくぐり抜けて広く中和する抗体の存在が示された。今後、antigen-driftによる影響を受けない、広くウイルス中和能を示す抗インフルエンザ中和抗体開発につながる成果と期待される。ハブ毒HR1に対する強い中和活性を示す抗体が既に得られているが、今回HR2、phospholipase2、[TAME]-esteraseの中和抗体単離に成功した。今後それを混合して用いる治療法を開発する。
結論
本プロジェクトの展開により、病原性ウイルス、病原菌が分泌する毒素、ヘビ毒に対してそれぞれ治療薬としてのヒト抗体単離法を開発し、幾つかの疾患については臨床試験を開始できる段階まで研究は進んだ。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-