がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛薬の適正使用に関する研究

文献情報

文献番号
200401221A
報告書区分
総括
研究課題名
がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛薬の適正使用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平賀 一陽(国立がんセンター中央病院特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 勇(静岡県立静岡がんセンター緩和医療科)
  • 志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院 緩和医療科)
  • 井田 栄一(社会福祉法人 イエズスの聖心病院 みこころホスピス)
  • 本家 好文(県立広島病院緩和ケア科)
  • 鈴木 勉(星薬科大学薬品毒性学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者が緩和病棟、一般病棟、在宅医療を自由に選択できる必要条件であるオピオイド鎮痛薬の適正使用によってがん疼痛が緩和されることを研究目的とした。
研究方法
難治性がん疼痛の治療の現状調査、緩和病棟・在宅医・訪問看護ステ-ション・調剤薬局などへのアンケ-ト調査、オピオイドとNSAIDs併用時の精神依存に関する動物実験などを行った。
結果と考察
疼痛緩和に難渋している神経因性疼痛を有するがん患者を含めて緩和病棟入院がん患者の疼痛は80%緩和されているので、現時点でのがん疼痛除痛率は全ての医療機関で80%を目指すべきである。
 在宅緩和ケアの啓発および普及は、日本の緩和ケアの発展・充実における課題の一つである。かかりつけ医、訪問看護ステ-ション、保険薬局が末期がん患者の在宅緩和ケアに関与する頻度は少なかった。ホスピス緩和ケア担当医との連携システムの必要性を感じているかかりつけ医は多いことが分かった。特に、在宅ホスピスケアにおける対応の難しい点として、疼痛、呼吸困難を選択するかかりつけ医は多い。がん患者が自宅で過ごすためには、痛みなどの身体的苦痛が十分に緩和される必要がある。そのためにはオピオイド鎮痛薬が、地域で円滑に供給される体制づくりを行う必要がある。
 モルヒネの精神依存形成に及ぼすジクロフェナク脳室内前処置の影響について検討した結果、ジクロフェナクを脳室内前処置をしても、モルヒネの精神依存形成は抑制されなかった。NSAIDs を併用してもモルヒネの精神依存形成を直接的には抑制しないものの、十分な鎮痛作用を維持しながらモルヒネの用量を軽減させることができると考えられる。
結論
がん疼痛治療におけるオピオイドの適正使用のためには臨床的、基礎的研究と普及・啓発活動が必要である。看護師へのアンケ-ト結果、医師のがん疼痛治療への診療態度(鎮痛法の選択、モルヒネ投与時期)からも、モルヒネによるがん疼痛治療時にはモルヒネの薬品名、作用、副作用などについてのモルヒネの服薬指導が必要であることが判明しているので、服薬指導を含めたオピオイド使用法に習熟することが重要である。オピオイド鎮痛薬の適正使用によってがん疼痛が緩和されると、がん患者が緩和病棟、一般病棟、在宅医療を自由に選択できる可能性が多くなる。

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-