薬物需要削減対策における関係機関の連携

文献情報

文献番号
200401219A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物需要削減対策における関係機関の連携
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
冨永 格(独立行政法人 国立病院機構下総精神医療センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,720,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 薬物需要削減のための連携は次の2種類に分かれる。この研究は、これらを成立させることを目的とする。
 取締処分側領域と援助側領域の関係においては、取締処分側は、薬物を乱用させない強力な指導を行い、使用に対しては厳正に取り締まり、処分においては罰則だけでなく対象者に応じて援助へのかかわりを適切な強制力を持って指導するべきである。援助側は、薬物規制法違反を根拠にした通報を避け、援助を提供することを優先し、一方で、将来の規制薬物乱用に対しては取締処分の対象になりやすい設定を行い、これが抑止力としても効果を表すように働きかけるべきである。このように取締処分と援助が働くと、規制薬物乱用者には、①回復を支える援助、②法的抑止力、③これらへのかかわり保持力が、個々に応じて提供されることとなる。
 また、回復を直接支える援助的なサービスの提供においては、薬物乱用者に接触した機関がまずはその機関が提供可能なサービスで対応し、不足がある場合に、その部分を補うサービスを求めて他機関に協力を依頼するべきである。この態勢により、過不足が抑えられ、体系として効率が上昇する。
研究方法
各領域での薬物乱用者への実務に前記の構想を導入しようとする試みの中で、各機関の役割、複数の機関のかかわり方を規定し、それらにおける法的整合性を検討し、効果を確認してゆく。
結果と考察
一部の領域では前記構想の連携が発展しつつあり、薬物需要削減対策に効果を上げるものと考えられる。
 しかしながら、取締処分と援助の間には次の摩擦があり、これにより研究の発展が妨げられているところがある。
 前記した連携においては、援助側領域が持つべき要素を援助の準備と受容的かかわり保持力としており、援助側専門職は対象者の薬物規制法違反(自己使用)を、検挙される形で取締機関に通報しないこととしている。このところを一部の機関は、違法行為あるいは不適切な役割分担と考えるのか、受け入れていない。
 構想した取締処分と援助の連携体系は、取締処分側の規制薬物乱用に対する不寛容主義を保持し、一方で、援助側から薬物乱用者を連携体系内に積極的に導入し、そられの内、必要な群に対し取締処分側の不寛容主義に基づく法的抑止力を提供しようとするものであることから、不寛容主義単独の効果を越えるものをもつはずである。このことを十分に説明することで、前記構想中の連携は展開してゆくであろう。

結論
前記の連携体系は、徐々にではあるが展開しつつある。

公開日・更新日

公開日
2005-06-30
更新日
-