特定生物由来製品の感染発見時における医療機関連係に関する研究

文献情報

文献番号
200401208A
報告書区分
総括
研究課題名
特定生物由来製品の感染発見時における医療機関連係に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
比留間 潔(東京都立駒込病院輸血科)
研究分担者(所属機関)
  • 松崎 道男(虎の門病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,695,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(血液法)および薬事法により血液製剤は特段の規制がかけられ、また、「輸血療法の実施に関する指針」が改訂され、輸血前後の感染症検査の在り方が変更された。これらの法律や指針が真に患者にとって有益なものとなるために医療機関の取り組む事項は多い。また、特に血液製剤による感染性副作用は被害拡大の観点から、その対策が重要であり、感染性副作用の防止を効果的に行うための現状認識が重要である。本研究の主たる目的は、医療機関がこれらの法律の規定事項を実施するための問題点を明らかにし、これらの法律や指針が効果的に実施されるための対策を提言することである。
研究方法
1.全国500床以上の367病院を対象に、血液製剤の管理体制、血液法と改正薬事法の周知度、血液製剤の副作用の管理体制などについてアンケート調査を行なった。2.日本赤十字社から供給されたPCを輸血直前に血小板製剤用細菌検出システム(eBDS)で測定した。3. 豊島病院における肝疾患患者114例を対象に、輸血歴、献血歴などを調査した。4. 虎の門病院における輸血副作用把握体制を報告し、その解析を行なった。
結果と考察
1. 医療機関における血液製剤安全体制、副作用管理体制の実態調査  輸血部門の設置率は64.5%と低かった。血液法と薬事法の内容についてはよく周知されており、特定生物由来製品の使用情報の記録保管、同意書の取得に関しては大半の病院で実施されていた。ただし、血液製剤が院外処方される場合は使用情報の記録が徹底されておらず、対策が必要と思われた。病院と保険薬局の連係を強化するために、血液製剤の使用記録票などを介して情報交換することが望まれる。輸血前後の感染症検査は徹底されておらず、輸血前の検体保管は79.4%の病院で実施され、しかも大半が凍結保管されていた。2. 血小板濃厚液(PC)の細菌汚染の調査  日本赤十字社から供給されたPCを輸血直前に血小板製剤用細菌検出システム(eBDS)で測定した。平成17年2月27日から3月28日までに供給されたPC のうち無作為に抽出した38製剤を検査したが、細菌汚染が検出された製剤は全くなかった。
結論
医療機関で血液法、薬事法に則り特定生物由来製品を管理するために整備しなければならない事項は多いことが明らかになった。特に輸血部門の設置や責任医師の任命などを徹底するためには行政指導の強化や保険制度からの支援が必要と思われた。

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