幹細胞を利用した分化誘導培養による人工血液の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401188A
報告書区分
総括
研究課題名
幹細胞を利用した分化誘導培養による人工血液の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白井 睦訓(山口大学医学部医学科 生殖・発達・感染医科学講座 微生物学)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 春巳(山口大学医学部医学科 生殖・発達・感染医科学講座 微生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
幹細胞が多系列の分化能を保持しつつ自己複製できるメカニズムの解明は人工血液の開発を目指す再生医療技術の開発に重要である。本研究は造血幹細胞の安定培養供給技術やin vitro分化誘導による免疫細胞、特にTリンバ球の分化誘導・制御技術の開発と応用を試みる。
研究方法
探索解析システムとしてPax5遺伝子欠損マウス由来ProB細胞に胸腺由来cDNAライブラリーや探索した多くの再生分化候補遺伝子をレトロウイルスにより導入発現させ特殊培養法による造血・免疫系各細胞系列へのin vitro再生分化技術、in vivoでの造血・免疫系組織再構築技術を開発する。siRNA技術による遺伝子発現のノックダウン、ES細胞を利用したノックアウトマウスの作製、DNAマイクロアレイによる3万遺伝子の網羅的発現解析も行う。
結果と考察
1)Pax5遺伝子欠損マウス由来ProB細胞をin vitroで調整し多分化能を長期間維持する技術を開発した。
2)多分化能を長期間維持させた同ProB細胞をγ線照射RAG2欠損マウスに移入し骨髄中で自己複製させ、B細胞以外の造血・免疫系細胞へ分化させる技術とそれを利用した新規分化制御遺伝子探索システムを確立した。
3)上記で探索した制御遺伝子を導入したPax5遺伝子欠損ProB細胞をγ線照射RAG2欠損マウスに移入し骨髄中で自己複製させ胸腺内で特定な機能を保有するT細胞への分化を調節できる技術をほぼ確立した。
4)サイトカインのひとつであるLIFが幹細胞の多分化能と未分化性を長期間維持しGATA遺伝子など重要因子の発現上昇により未分化細胞におけるT細胞、NK細胞系列への分化能力を維持させる作用があることを解明した。
5)造血・免疫系の分化制御遺伝子候補5個程度は解析の成果をもとにノックアウトマウス等遺伝子組み換えマウスの作製準備に入った。
結論
1)幹細胞をin vitroで多分化能を長期間維持し同細胞をvivoに移入し骨髄中で自己複製させ、特定な機能を保有する造血・免疫系細胞へ分化させる技術、それを新規分化制御遺伝子探索システムとして利用する技術を開発した。
2)LIFが幹細胞のGATA遺伝子など重要因子の発現を上昇させ未分化性を長期間維持しT細胞、NK細胞系列への多分化能力を維持させる作用を解明した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-