薬物の分析鑑定法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401187A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物の分析鑑定法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平井 俊樹(財団法人日本薬剤師研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長野哲雄(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 那須正夫(大阪大学大学院薬学研究科)
  • 山田英之(九州大学大学院薬学研究院)
  • 合田幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 木内文之(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
  • 関田節子(徳島文理大学香川薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,630,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の薬物乱用状況は、覚せい剤結晶、エクスタシー錠剤及び大麻樹脂の多量押収に加え、麻薬と類似構造の化学物質や幻覚成分含有植物の乱用による犯罪も発生し、深刻な状況にある。更に本年度は2物質が麻薬に指定されることになった。本研究は幅広い多種類の薬物事犯に対処できる薬物分析及び鑑定法を検討し、効果的な取締対策を支援することを目指す。
研究方法
エクスタシー錠剤、覚せい剤、幻覚性植物及び大麻についてのProfilingを有機化学的及び生物学的観点から実施した。大麻成分、GHB、MDMA、psilocinの簡易分析法の検討をした。体毛中の覚せい剤検出法、トリプタミン系薬物の鑑定分析法及び合成法について検討した。けしは種子から組織培養し成分及び生育特性について検討した。ベニテングタケ関連商品の成分分析について検討した。
結果と考察
”Ecstasy in Japan 2005”のポスター作成し、多数の稚拙な錠剤の中に専門的な技術によると思われる錠剤も存在することを確認した。覚せい剤の位置特異的天然同位体分別分析法の開発及び原料の起源推定で発酵法及び天然の麻黄由来のエフェドリンが密造に使用されていることを明らかにした。市場にあるベニテングタケの基原種を明らかにした。新規麻薬の高感度分離・定量法を確立した。GCMS法でデザイナードラッグの一斉分析を可能とした。覚せい剤乱用者のすね毛や腕毛等の体毛に覚せい剤が蓄積されていることを明らかにした。大麻の種による生育特性を調べパターンの差異を明らかにし、系統間差および個体間差を識別するために有効なマイクロサテライトマーカーを確認した。
結論
窒素・炭素安定同位体比測定による覚せい剤のProfilingは関係各国から高い評価を受け、原料物質の横流れ防止に有効な対策となることが期待できる。トリプタミン系薬物の簡便な合成法の検討は麻薬研究における標準品の入手についての一つの提案であり、研究に必要な薬物の合成法を継続して検討していくことが必要である。薬物試験キットの開発は、捜査現場の要求に対応できるよう加速しなければならない。頭髪以外の体毛から覚せい剤検出が可能になったことは、鑑定分野では重要な知見であり、コカインやあへん成分の検出に繋げていく必要がある。的確に薬物問題に対処するためには諸外国との情報交換が重要であり、積極的に推進事業を活用し海外機関との交流をはかっていきたい。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)