医薬品の外観に着目した類似性を回避するための情報提供のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200401185A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の外観に着目した類似性を回避するための情報提供のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
村山 純一郎(昭和大学病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,695,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療従事者の薬剤施用過程における医薬品の確認は患者の安全確保に不可欠である。医薬品名称と外観等の類似性による錯誤(医薬品の取り違え)と失念(使用直前準備のし忘れ:2M塩化カリウム注射剤の誤静脈注射など)の減少に向け。注射薬アンプル剤使用時の誤認防止に向けた表示ラベルの現状調査と改善方策、注射薬アンプルに表示すべき薬事法記載遵守事項と市販製品記載事項の乖離状況、点眼液と他の医薬品との排他性をもつ容器の開発、を研究の焦点とし具体的方策の策定を目的とした。
研究方法
厚生労働省重要事例報告からの注射薬事例、市販注射アンプル剤表示の現状、使用の安全に関した医療従事者への調査、薬品外観と名称表示調査から安全確認のための表示情報のあり方の追求、点眼薬と他の医薬品との取り違い防止に向けた排他的点眼薬キャップを検討した。
結果と考察
薬剤師と看護師各々約100名へのアンケート結果はインシデント事例であるがアンプル剤の取違え、誤使用の経験者が73%、アンプル剤表示を「識別しにくい」、「間違えやすい」(50%以上)、57%が表示色やデザインで薬品を判断、一方、「色,デザインで判断しない」(40%)を示した。また、注射薬アンプルは同容量アンプル間で外形類似性があること、アンプル底部から薬品名左読みが84.2%、2段名称表示製品が23.8%、表示背景色は白地82%、薬品名文字色は法的規制のある劇薬の赤色表示が48%で劇薬表示と紛らわしい製品が混在するなど薬事法記載事項と市販製品記載事項の乖離を示した。さらに、用法や希釈液記載等に問題があること、薬効の表示製剤が13%と少ないことが判明した。医薬品取揃えに重要なバーコードは1次元、2次元コード合わせても低表記率9%であった。調査したアンプル剤98%にカットマークが存在するがマーク色、マークと薬品名の位置が不適切と考えられた。
 点眼容器のキャップを四角に統一すれば他の医薬品容器との排他性は高まるが自主制作への莫大な費用と種々のバリデーションの問題が浮き彫りとなった。
結論
薬剤師、看護師は注射薬アンプル剤表示占有面積の大きな製造業者の住所やロゴマークを不要、「薬効」の表示を必要とした。また、毒薬や劇薬と紛らわしい文字色と地色の製品の排除やアンプルカットマークと薬品名の同一軸表示に法的規制が望まれた。
 特殊キャップと通常キャップ装着点眼容器の混在暗箱から特殊キャップ装着点眼容器のみを抽出してキャップ変更の有効性を判定するが各医療機関倫理委員会承認後、平成17年度に実施する。

公開日・更新日

公開日
2005-08-02
更新日
-