医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200401184A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 秀昭(石巻市立病院 診療部門 薬剤科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,575,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院薬剤師は、医療チ-ムの担い手として医療事故を未然に防止するための多くの役割を担っている。本研究は、病院薬剤師の業務実態調査の結果に基づき、各業務の実施率がインシデントの発現頻度にどのように影響しているのか検討する。その傾向を把握し、医薬品の取り違え等の医療事故を未然に防止するための病院薬剤師の業務指針(案)を作成する。
研究方法
患者の安全確保に関連する病院薬剤師の業務調査票(235項目)を280施設に郵送し、186施設から回答を得(有効回答率77.8%)、一般病床114施設について実施の有無とインシデントの発現頻度を比較検討した。さらに、国内の文献も参考にして業務指針(案)を作成する。
結果と考察
病院薬剤師の業務実態調査結果、医療事故を未然に防止するための多くの業務を実施していることが明らかになった。医療事故を未然に防止するための薬剤師業務として、処方せん鑑査等の受動的な業務、①病棟在庫薬の棚等の貼付ラベルへの工夫等適切な病棟配置薬の管理、②注射剤の混合の仕方等交付した薬剤が適正に使用されるための情報提供、③調剤済薬及び持参薬をピルケ-ス等に1回服用毎に取り揃え病棟に払い出す、注射剤を混合調製し病棟に払い出す等の能動的な業務は、有用であることが示唆された。しかし、④事故防止のための院内研修会の企画、事故防止検討委員会等への積極的な参画、処方入力への工夫等の管理業務は、インシデントの発現頻度との直接的な抑止力は認められなかったが、院内のコミュニケ-ションを円滑にしインシデント報告への意識を高め、可能な限りの安全対策の構築には重要と考える。
結論
インシデントに抑止力があり患者に直接かかわる業務、すなわち医療事故を未然に防止するための根幹となる業務①から③の実施率が低いことが判明した。このことから、医療の安全性を担保するための薬剤師業務の抜本改革が必要である。この研究結果を踏まえ、「医薬品の取り違え等医療事故を防止するための病院薬剤師の業務指針(案)を提示した。

公開日・更新日

公開日
2005-10-03
更新日
-