植込み型生命維持装置の安全対策に関する研究

文献情報

文献番号
200401180A
報告書区分
総括
研究課題名
植込み型生命維持装置の安全対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
笠貫 宏(東京女子医科大学(循環器内科))
研究分担者(所属機関)
  • 田中 茂夫(医療法人狭山中央病院)
  • 杉浦 敏文(静岡大学(電子工学研究所・生体医療計測))
  • 加納 隆(三井記念病院(MEサービス部))
  • 平尾 見三(東京医科歯科大学(循環制御内科学))
  • 豊島 健(日本メドトロニック株式会社(ペースメーカ技術開発))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ペースメーカ、除細動器等の植込み型生命維持装置について、過去の不具合事例に関する情報を集め、これらを分析することで、不具合について、装置の製造業界、医療従事者、装着患者、行政の全者が納得できる、科学的で適正な評価を行える不具合情報収集・蓄積・伝達システムを構築する。
研究方法
現在稼動している装置について、過去に生じた不具合事例を収集し、患者症状、その重篤度、装置の動作状況、原因部位、その故障物理等について分析した。同時に各事例報告で使用されている用語を統一し、不具合発生時の患者症状の重症度、転帰の評価基準を定め、段階分けした。さらにペースメーカの構成要素毎に、不具合の発生率、患者症状の重症度の分布を求めた。
結果と考察
ペースメーカ協議会会員企業12社から、1995年から2004年に生じた、484件の不具合事例が得られた。内訳は、ペースメーカ230件、ICD 20件、両心室ペースメーカ4件、心室リード94件、心房リード74件、VDDリード26件、除細動リード26件、左室リード7件、その他3件であった。不具合発生時の症状で重症だったものの割合は、リード類で22?41%で、ペースメーカ、ICD等の5?10%より多かった。また、不具合発生率はペースメーカで12.6/百万台・月、ICDについては77.2/百万台・月となった。ペースメーカの動作変調で、中等症以上の症状の割合が多いものは、機能停止(56.3%)、レート変化(40.0%)、ペーシング不全(37.5%)、出力喪失(36.4%)の順で、構成要素の中で、より重症な症状をもたらす可能性の高いものは、本体カン、水晶振動子、フィードスルー、回路基板の順であった。これらの不具合発生率は本体カン0.06、水晶振動子0.66、フィードスルー0.06、回路基板0.22(/百万台・月)であった。実際に不具合の原因となった構成要素は、件数の多い順にコネクタ27件、マイクロプロセッサー17件、電池16件、水晶振動子12件の順であった。
結論
上記結果にもとづき、新たに発生した不具合について、装置に生じた動作変調、可能な対処法、植込み後の日数、販売開始時期、出荷数を与えることで、不具合の発生率を算出し、さらに蓄積された不具合情報から、症状の重症度の可能性等を求め、その不具合の客観的ランク付けを行えるシステムの可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-08-26
更新日
-