同種血輸血安全性向上に伴う自己血輸血適応の再検討

文献情報

文献番号
200401178A
報告書区分
総括
研究課題名
同種血輸血安全性向上に伴う自己血輸血適応の再検討
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐川 公矯(久留米大学(医学部附属病院臨床検査部))
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 頌一(神奈川県赤十字血液センター)
  • 大澤 哲雄(新潟市民病院(泌尿器科))
  • 面川 進(秋田大学(医学部附属病院輸血部))
  • 小堀 正雄(菊名記念病院(麻酔科))
  • 坂本 久浩(医療法人茜会昭和病院)
  • 佐竹 正博(東京都赤十字血液センター)
  • 佐藤 博行(福岡県赤十字血液センター)
  • 鷹野 壽代(聖マリア病院(輸血部))
  • 高橋 孝喜(東京大学(医学部附属病院輸血部))
  • 種本 和雄(川﨑医科大学(外科学(胸部心臓血管外科学)))
  • 丹生 恵子(福岡大学(医学部附属病院輸血部))
  • 樋口 富士男(久留米大学(医学部附属医療センター整形外科))
  • 古川 良尚(鹿児島大学(医学部附属病院輸血部))
  • 松崎 道男(虎ノ門病院(輸血部))
  • 森澤 雄司(自治医科大学(感染制御学))
  • 吉田 雅司(鹿児島大学(医学部附属病院口腔顎顔面センター))
  • 脇本 信博(帝京大学(医学部附属病院整形外科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
同種血輸血の安全性が非常に高まっており、従来のように自己血輸血が「最も安全な輸血」と言い切れなくなっている。本研究では、自己血輸血を実施する際の様々なリスクについて再検討を行い、自己血輸血の適応の見直しにつながる成果を得ることを目的とする。
研究方法
1.アンケート調査
調査期間は2000年1月1日2004年12月31日までの5年間とし佐川班及び高橋班の両班が中心となって日本輸血学会が全国の主要1355施設の自己血輸血の実態調査を行う
2.多施設共同研究による自己血の細菌汚染の前方視研究
①細菌汚染への対応 ②輸血中の患者観察 ③血液凝固塊の観察 を柱に実施する
3.「自己血輸血ガイドライン」の改訂版の作成
1994年版「自己血輸血:採血及び保管管理マニュアル」を上記1,2の結果を踏まえ分担研究者と共に改訂する
結果と考察
1.アンケート調査
回答率61.2%であった。全施設の自己血輸血の2004年実施量の平均は259単位、140袋であり、この実績は2000年から殆ど変化はなく、全国的にも自己血の普及はほぼ浸透していると考えられた。今回自己血の細菌汚染は7症例の報告があった。細菌汚染の頻度は、約33万本(5年間)中7本であり4.7万本に1本の割合で確認された。
2. 多施設共同研究による自己血の細菌汚染の前方視研究は準備中である。
3. 自己血輸血ガイドライン」の改訂版の作成
第1部は基礎編で、従来通りのガイドラインの記載を行い、第2部ではフローチャート、図、クリニカルパスなどのビジュアル化によって、初心者でも安全で適正な自己血輸血が実施できる構成とすることとした。
結論
アンケート調査で、自己血輸血細菌汚染の頻度が4.7万本に1本の割合という結果であったが、日本赤十字血液センターの同種血の細菌汚染の頻度が数千本に1本であることと比較するとあまりに低い頻度である。これは、自己血の細菌汚染が臨床的に把握されていないことを示唆している。今後、自己血輸血の全数または抜き取り調査により輸血前に細菌汚染の有無を検査するシステムを構築することが必要である。しかも簡便、安価、かつ短時間で結果を判定できる検査でなければならない。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-