血液新法に伴う輸血管理体制と安全管理・適正使用マネジメントシステムの構築

文献情報

文献番号
200401175A
報告書区分
総括
研究課題名
血液新法に伴う輸血管理体制と安全管理・適正使用マネジメントシステムの構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 孝喜(東京大学医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 今中 雄一(京都大学大学院医学研究科・医療経済学(医療経済学分野))
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・医療管理学(同医療管理学))
  • 窪田 良次(香川大学医学部附属病院・輸血医学・血液内科学 (同院輸血部))
  • 佐川 公矯(久留米大学医学部附属病院・輸血医学(同院臨床検査部))
  • 坂本 久浩(茜会昭和病院(下関市)・輸血医学)
  • 髙松 純樹(名古屋大学医学部附属病院・輸血医学(同院検査部・輸血部))
  • 半田 誠(慶應義塾大学医学部附属病院・輸血医学(同院輸血センター))
  • 程原 佳子(滋賀大学医学部附属病院・輸血医学)
  • 松崎 道男(虎の門病院・輸血医学 (同院輸血部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成15年施行の「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」において、「適正輸血の実践」が医療関係者の責務であると明記され、少子高齢化による血液の相対的不足の懸念を克服し、血液の完全国内自給を達成することが目標と定められた。
そのためには、献血の一層の普及とともに適正輸血の推進が重要である。
医療機関における適正使用推進のためのマネジメントシステム構築を研究目的とした。
研究方法
各医療機関の現状を把握するため、輸血管理体制や輸血療法委員会に関する調査を含む総括的輸血アンケート調査を実施した。対象は300床以上で血液製剤使用量3000単位以上の全医療機関777を含む1355病院とした。
また、適正輸血の推進に必須の適正使用委員会(または従来からの輸血療法委員会)について、具体的活動方法、検討すべき事項、院内ルールの確立等に関する実用的ガイドラインの原案を、本研究班班員の議論を集約して作成した。
結果と考察
病床300床未満322施設、300床以上502施設の計829施設(61.2%)より回答を得た。輸血検査・輸血用血液の一元管理体制は681施設(82.2%)で確立していた。そして、輸血療法委員会あるいは同様の機能を持つ委員会が773施設(88.7%)に設置されていたが、同委員会の中心となるべき専任輸血責任医師が存在する施設は86施設(10.5%)と少なく、適正輸血を推進するための条件が充分とは言い難いことが判明した。上記のガイドライン原案を厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会適正使用調査会に提案し、成案を得たいと考えている。
さらに、同ガイドラインの検証を含む適正使用推進の実践的な取り組みとして、各医療機関における輸血療法委員会の現状と課題、各地域の合同輸血療法委員会を通じた適正輸血推進の進捗状況について、調査を進めたいと考えている。
結論
「適正輸血の実践」が具体化し難い背景には、専任の輸血責任医師が存在する医療機関が少なく、輸血療法委員会も具体的活動目標や議論すべき内容、権限などが不明確で、成果が得られていない場合も少なくないことが判明した。
輸血管理体制、人員配置、院内適応基準の策定、輸血実施手順書の整備および人員の配置などとともに、適正輸血推進のための委員会(輸血療法委員会)による指導体制が重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-22
更新日
-