文献情報
文献番号
200401174A
報告書区分
総括
研究課題名
安全な血液製剤を確保するための新興・再興感染症等の診断、除去・不活化法の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 義昭(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
- 池田久實(北海道赤十字血液センタ-)
- 佐藤 博行(福岡赤十字血液センタ-)
- 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス1部)
- 武田 直人(国立感染症研究所ウイルス2部)
- 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス3部)
- 米山 徹夫(国立感染症研究所ウイルス2部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HBV、HCV、HIVなどの主要なウイルスに対する種々の安全対策が整備されたが、重要性が認識されつつも対策が取られていなかったウイルスや新興・再興感染症のウイルスに対して診断法の開発、除去・不活化の評価、及び評価のための検査法の開発を実施し、安全な血液製剤を確保することを目的とした。本研究班は SARSウイルス、ウエストナイルウイルス(WNV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、パルボウイルスB19(B19)について、培養可能なウイルスは既存の方法を用いての除去・不活化法の評価、培養できないウイルスにおいては培養法の確立、遺伝子工学的手法を用いた評価法の開発を行った。さらに、新しいウイルス不活化法の検討も実施した。
研究方法
培養が可能なSARSウイルス、WNV、HAVはアルブミン製剤とグロブリン製剤に各々のウイルス液を添加し、35nmのウイルス除去膜による除去と60度10時間の加熱による不活化を検討した。B19は新たに感受性があることが明らかとなった上皮性細胞株を用いて、60℃10時間の加熱による不活化を評価した。HBVはウイルスを酵素処理することで肝細胞株に親和性を有する方法を開発し、感染性を評価した。HEVはバキュロウイルスの系を用いてHEVの構造タンパクを作成し、ウイルス様粒子を多量に作り、ウイルス除去膜による除去を検討した。また、新しいウイルス不活化法の基礎的検討を実施した。
結果と考察
SARSウイルスとWNVはウイルス除去膜と加熱処理によって4logから5log以上クリアランスされ有効性が示された。また、HAV、B19は各々3.7log、4 log加熱によって不活化された。B19はモデルウイルスに比較して熱によって容易に不活化された。また、HBVはこれまで適当な感染系がなかったが、酵素処理によってウイルスが肝細胞に結合しcccDNAが検出できるようになった。ウイルス複製に関するウイルス不活化法の評価に応用できる。HEVでは評価のための検体が入手し難いウイルスの除去評価に有効であると考えられた。
結論
SARSウイルスやWNVなどのエンベロ-プを有するRNAウイルスは既存の方法で除去・不活化された。一方 、エンベロ-プを有しないDNAウイルスは、モデルウイルスでは加熱に抵抗性を示すが、B19は加熱に感受性を示した。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-