遺伝子組換え医薬品等のプリオン除去工程評価の方法に関する研究

文献情報

文献番号
200401156A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン除去工程評価の方法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 内田恵理子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 菊池  裕(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞培養医薬品等の製造に用いられるウシ等反芻動物由来原材料に混入する危険性のある異常プリオン(PrP-Sc)への安全確保において、製造工程でのPrP-Scの不活化/除去能の評価は重要である。本研究では、医薬品等の製造工程におけるPrP-Sc除去/不活化工程に関する総合的なリスク評価を行い、科学的見地から安全性を確保するための方策を提示することを目的とする。
研究方法
1.学術論文等の公表資料を対象に調査研究を実施した。2.スクレイピー帯広株感染マウス脳乳剤から0.5%Sarkosyl抽出後、遠心又は超遠心し、上清についてプロテナーゼK処理後、プリオン蛋白質(PrP)を回収した。沈殿は、同様にSarkosyl濃度を0.5%ずつ4%まで上げて繰り返し抽出した。PrP-Scはウエスタンブロットで検出した。3.ヒトT98G細胞又はヒト組織の総RNA及びPrP exon 2の配列に対応するプライマーでRT-PCRを行い、PrP関連mRNAを検出した。ヒトPrP又はスプライス変異型PrPのC末端側のペプチドでマウスを免疫し、目的のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを選択した。
結果と考察
1.生物由来原料基準及び文献等の調査結果から、細胞培養医薬品等について一定のPrP-Sc安全性が確保されていることを確認した。2.血漿分画製剤製造でのPrP-Scクリアランス評価に関するEMEA指針に基づき、細胞培養医薬品等の製造工程のクリアランス評価を行う際の要点を明らかにした。3.血漿分画製剤製造工程に関する文献調査の結果、細胞培養医薬品等でも製造時の微妙な条件の違いがクリアランス能に大きく影響し得ることを明らかにした。4.スクレイピー感染マウス脳乳液のSarkosyl抽出液中に、超遠心でも沈殿しないPrP-Scが十分量存在することを明らかにし、スパイク用病原体として当該画分が適切である可能性を示唆した。5.ヒトT98G細胞において、GPIシグナルペプチドをもたず正常PrPと高い相同性を有するスプライス変異型PrPのmRNAを新たに見出し、これがヒトの脳などで発現していることを明らかにした。さらに、この蛋白質に対する抗体を作製した。クリアランス評価へのこれら蛋白質の応用が期待される。
結論
医薬品等製造工程のPrP-Scクリアランス評価に関する新規の知見や有用な考察結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-