バイオフラボノイドの遺伝子再構成作用に関する研究

文献情報

文献番号
200401151A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオフラボノイドの遺伝子再構成作用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清河 信敬(国立成育医療センター研究所発生・分化研究部形態発生研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 山田健人(慶應義塾大学 医学部)
  • 安江博(農林水産省・独立行政法人・農業生物資源研究所 基礎研究部門)
  • 穂積信道(東京理科大学 生命科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
15,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳児白血病の発症には母体のトポイソメラーゼ(Topo)II抑制物質摂取に起因する胎児造血細胞のMLL遺伝子再構成が関与する。最近バイオフラボノイド(BFN)がTopoII抑制作用によりヒト血球のMLL遺伝子を切断することが明らかになり、BFNがお茶やハーブ等に豊富に含まれ乳児白血病の発生頻度が東洋人に高いことから両者の関連が示唆されている。BFNは近年健康食品として普及しておりその安全性についての評価も必要と考えられる。そこで本研究では、生体のBFN摂取がMLL遺伝子構造に及ぼす影響や乳児白血病発症との関連性について基礎的に検証することを目的とした。
研究方法
ヒト血球系培養細胞株および骨髄幹細胞から試験管内で分化誘導した種々の系統・分化段階のヒト血球細胞を用いた。BFN添加培養後、あるいは免疫不全NOD/SCIDマウスに移植・生着させBFNの腹腔内注射により処理して骨髄/末梢血/脾臓からセルソーターを用いて回収後、核DNA、RNAを抽出した。MLL遺伝子の切断を高感度サザンブロット解析で、再構成をRT-PCRおよび新たに確立したligation-mediated PCR (LM-PCR)により検討した。培養細胞と妊娠マウスにBFNを投与しアポトーシス細胞の出現をAnnexin Vの結合等で検出した。
結果と考察
特定の血球系細胞株、未熟骨髄球等でBFN添加培養によるMLL遺伝子の切断を認めたが、RT-PCR、LM-PCRで検討した限り再構成は検出されなかった。また成熟単球等では同遺伝子の切断自体検出されなかった。免疫不全マウスへの移植・再構築系での検討では、BFN感受性細胞株ではマウスへのBFN投与による同遺伝子の切断が確認されたが再構成はやはり検出されず、骨髄幹細胞については移植後大部分の細胞が成熟血球となり同遺伝子の切断は検出されなかった。一方、種々のBFNが様々な系統のヒト血球系細胞株、正常血球にアポトーシスを誘導し、妊娠マウスへの投与で仔マウスに有意な骨髄抑制を起こすことが明らかとなった。
結論
BFNは確かに生体内でもMLL遺伝子の切断を誘導する作用を示すが、大部分の細胞はアポトーシスにより除去され、切断された遺伝子が再構成にいたる確立は非常に低いと考えられ、現時点で乳児白血病発症との直接的因果関係を示す根拠は得られなかった。BFNの作用については今後さらに慎重な検討が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200401151B
報告書区分
総合
研究課題名
バイオフラボノイドの遺伝子再構成作用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清河 信敬(国立成育医療センター研究所発生・分化研究部形態発生研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 山田健人(慶應義塾大学 医学部)
  • 安江博(農林水産省・独立行政法人・農業生物資源研究所 基礎研究部門)
  • 穂積信道(東京理科大学 生命科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳児白血病の発症には母体のトポイソメラーゼ(Topo)II抑制物質摂取に起因する胎児造血細胞のMLL遺伝子再構成が関与する。お茶や健康食品に含まれるバイオフラボノイド(BFN)がTopoII抑制作用によりヒト血球のMLL遺伝子を切断することが明らかになり、両者の関連が示唆されている。そこで本研究では、生体のBFN摂取がMLL遺伝子構造に及ぼす影響や乳児白血病発症との関連性について基礎的に検証することを目的とした。
研究方法
各種ヒト血球培養細胞を用いてBFN添加培養後、あるいは免疫不全NOD/SCIDマウスに移植・生着させBFNの腹腔内注射により処理して骨髄/末梢血/脾臓からセルソーターを用いて回収後、核DNA、RNAを抽出した。MLL遺伝子の切断を高感度サザンブロット解析、FISH解析で、再構成をRT-PCRおよびligation-mediated PCR (LM-PCR)を新たに確立して検討した。培養細胞と妊娠マウスにBFNを投与しアポトーシス誘導を検討した。RAG遺伝子の改変による免疫不全クローンブタ作出を行うとともに、ブタ免疫系解析手段としての単クローン抗体作成、関連遺伝子の単離解析を行った。
結果と考察
培養系および免疫不全マウスへの移植・再構築系での検討で、未熟な血球の一部でBFN添加培養によるMLL遺伝子の切断を認めたが、検討した限り再構成は検出されなかった。また成熟傾向の強い血球では同遺伝子の切断自体検出されなかった。種々のBFNが様々な系統のヒト血球系細胞株、正常血球にアポトーシスを誘導し、妊娠マウスへの投与で仔マウスに有意な骨髄抑制を起こすことが明らかとなった。研究期間内に免疫不全クローンブタの作出は間に合わなかったが、ブタ免疫系解析のための多数の抗ブタ白血球抗体の作成と重要な免疫関連遺伝子の単離解析を行った。
結論
BFNの生体内作用解析のため免疫不全マウスを用いたヒト血球再構築モデルを確立した。妊娠免疫不全ブタを用いたヒト胎児造血系モデルは期間内に確立できなかった。BFNは確かに生体内でもMLL遺伝子の切断を誘導する作用を示すが、アポトーシスによる除去等により、切断された遺伝子が再構成にいたる確立は非常に低いと考えられ、現時点で乳児白血病発症との直接的因果関係を示す根拠は得られなかった。BFNの作用については今後さらに慎重な検討が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-17
更新日
-