天然添加物の発がん性等に関する研究

文献情報

文献番号
200401144A
報告書区分
総括
研究課題名
天然添加物の発がん性等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鰐渕 英機(大阪市立大学大学院医学研究科都市環境病理学)
研究分担者(所属機関)
  • 今井田 克己(香川大学 医学部 腫瘍病理学)
  • 中江 大(財団法人 佐々木研究所 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
61,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の多くはヒトが長期にわたって摂取する可能性が高いことから,基本的な安全性が確立されていない天然添加物について可及的速やかな安全性評価は食品衛生上急務と考えられる。本研究では,天然添加物のなかで変異原性が疑陽性以上であり,90日間反復投与毒性試験が施行された品目の中から,3品目(プロポリス抽出物,キダチアロエ抽出物,カテキン)を選び,1年間慢性毒性試験および発がん性試験をラットに施行し,3年間かけてその安全性を評価することとした。特に,選定された3品目は,近年の健康食品ブームのなか,急速に消費されるようになり,長期曝露の安全性評価が待たれている。
研究方法
<被験物質並びに投与量>最高用量をプロポリス含量として2.5%とし,最低用量を0.5%とした。プロポリスはオリエンタルMF基礎飼料に規定量混ぜたもの検体として使用した。キダチアロエ抽出物の発がん性試験には4%, 0.8%, 0% を,1年間慢性毒性試験には,4%, 0.8%, 0.16%, 0% の用量に設定した。緑茶カテキンの慢性毒性/発がん性併合試験の投与用量は,3,1.0,0.3%に設定した。なお,本試験においては,カテキンが食品添加物として多くの食品に使用されている現実を踏まえ,ヒト摂取相当量での検索も必要であると考え,カテキンの1日当たりヒト摂取量に相当する0.02%を最低用量に設定した。<動物並びに飼育条件>5週齢のBrlHan:WIST@Jcl(GALAS)ラットを入手し、雌雄150匹づつ,合計300匹を長期発がん性試験に,雌雄40匹づつ合計80匹を1年間慢性毒性試験に用いる。<観察並びに検索方法>食品添加物のがん原性試験法ガイドラインならびに1年間反復投与毒性試験法ガイドラインに準じて行う。
結果と考察
1.プロポリスのMF基礎粉末飼料への添加では、成形の際の加水や加熱により,分解または変化した可能性があると考えられ、固形化せずに粉末飼料として投与することとした。現在(試験開始後約1年)まで、最高用量投与群で、多少の体重増加抑制が見られるものの、一般状態は良好である。2.キダチアロエ抽出物の発がん性等に関する研究では、雌雄とも最高用量投与群で、下痢や軟便が認められ、摂水量の増加と体重増加の抑制が認められるものの、現在(試験開始後7ヶ月)まで、一般状態は良好である。3. カテキンの発がん性等に関する研究では現在(試験開始後10ヶ月)まで、ラットの一般状態は良好で、カテキンによる影響は認めていない。
結論
現在まで、これら3検体の試験は順調に推移している。

公開日・更新日

公開日
2005-06-17
更新日
-