既存添加物等における遺伝毒性評価のための戦略構築に関する研究

文献情報

文献番号
200401143A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物等における遺伝毒性評価のための戦略構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
林 真(国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 長尾美奈子(共立薬科大学)
  • 葛西  宏(産業医科大学分子生物学)
  • 佐々木 有(八戸工業高等専門学校・物質工学科)
  • 太田 敏博(東京薬科大学・生命科学部・環境分子生物学研究室)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部)
  • 田中 憲穂((財)食品薬品安全セ ンター秦野研究所)
  • 中嶋 圓((財)食品農医薬品安 全性評価センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物をはじめとする,食品関連物質の遺伝毒性試験結果を評価し,解釈するための,統一的な戦略を構築することを目的とする.戦略構築のために不可欠なデータを新たな 試験を実施することにより入手する.なお,構築された戦略を国際的なものとするため,海 外の専門家を含めて議論し,最終結果を国際誌に発表する.
研究方法
公表論文の検索,収集を始め,海外の委員会等で公表されている公式文書を収集し,問題点の抽出,整理,議論,とりまとめを行う.本研究においては具体的な事例から全体に通用する一般化を行うことを基本とする.モデルとして,げっ歯類の肝臓に発がん性の疑いが予測されているコウジ酸,赤色2号をはじめとするタール系色素および最近問題が生じたアカネ色素等既存添加物モデル化合物として検討する.戦略構築の過程において必須データが欠落している場合には,実際に遺伝毒性試験を実施する.コウジ酸については,肝臓におけるDNA付加体形成,酸化的損傷に関する検討が不可欠であるので,実験を行いデータの補強をする.また,アカネ色素に関してはラット生体内における遺伝子突然変異誘発性をトランスジェニック動物を用いて検討する.
結果と考察
戦略構築に必要と考えられるデータの収集を行った.本年度は,コウジ酸についてDNA付加体の形成に関して検討を加えた.また,コウジ酸ならびに食生活において接種する可能性のある癌原物質に対して,その化学物質の予想される1日摂取量を,特定の遺伝毒性試験において,ある一定の遺伝毒性を発現する用量で除したHEGEPを考案した.閾値問題に関しては,DNA修復能により,標的が暴露されているにもかかわらず遺伝子突然変異が誘発されない用量領域のあることを示す結果を得ることが出来,生物学的な閾値について検討した.また,コウジ酸ならびにアカネ色素について行った試験結果を基に,遺伝毒性評価のための戦略構築に関する検討を行った.
結論
食品関連物質の遺伝毒性の評価,解釈をするための戦略を構築するため,日本環境変異原学会の臨時作業委員会と共同し,定例の班会議を原則として毎月開催し,研究班の統一的な考え方について検討を続けた.また,昨年度末の国際コンサルテーション会議の報告書を検討し,海外の指導的立場にある研究者と議論を行っている.閾値論に関しては,生物学的閾値に関する考えを取り込み,現実面での閾値について検討中である.

公開日・更新日

公開日
2005-06-17
更新日
-