担子菌類中の有害物質の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401140A
報告書区分
総括
研究課題名
担子菌類中の有害物質の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
キノコには毒性物質としてhydrazineの存在が古くから確認されている。またアガリクス茸を含むキノコ類は有害重金属、特にカドミウムを蓄積しやすいことが以前から知られている。本研究では、agaritineを含む一連のphenylhydrazine化合物について、LC/MS/MSシステムを用いて構造確認を含めた分析法の開発を行う。また食品中agaritine分析法が,実験動物からの血清等生体試料中のagaritine分析にも適用できるように検討し、アガリクス投与マウスの代謝について調べるため,生体内動態を経時的に測定する。さらに、キノコ類中の有害・必須金属含量を、多元素同時分析し、生体への影響を考察する。
研究方法
ヒドラジン化合物分析のLC/MS/MS装置は、Applied Biosystems社製API-3000を用いた。抽出および前処理操作は、キノコ製品はメタノールで振とう抽出後、溶媒留去した後、固相カ-トリッジを用いて黄色色素を保持させて、LC/MS/MS分析用検液を調製した。金属分析は、装置としてICP-AES及び原子吸光分光光度計を用いた。
結果と考察
アガリクス中について,グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸が縮合したagaritine類縁体もagaritine同様の毒性を発現すると考えられ,その存在を検討した結果、アスパラギン酸縮合型agaritineは乾燥アガリクス中には検出限界以下であることが示唆された。またLC/MS/MS分析法を用いて,アガリクス投与マウスでの代謝実験を,血清中agaritineの経時変化を測定した結果、agaritineは投与後20分でピークとなり60分までにほとんど消失し,血中において蓄積性はなく代謝が早いことが明らかとなった。また、アガリクス健康食品を含めたキノコ類中の有害・必須金属含量の分析を実施した。
結論
agaritineは,Agaricus属キノコのみ含まれるヒドラジン誘導体であり,その構造類似体は健康食品およびアガリクス茸を含めたキノコ類中において検出されなかった。アガリクスキノコあるいはagaritine標準品をマウスに経口投与した後のagaritine血中濃度動態は,投与後20分で最大となり、その後急速に消失し,血中への移行と消失は早いと考えられた。今年度の金属分析において、Cdの値が高いアガリクス健康食品があることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-03
更新日
-