ダイオキシンの乳幼児への影響その他の汚染実態の解明に関する研究-特に母乳中のダイオキシン類濃度の経年的変化と乳幼児発育発達に及ぼす影響-

文献情報

文献番号
200401134A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシンの乳幼児への影響その他の汚染実態の解明に関する研究-特に母乳中のダイオキシン類濃度の経年的変化と乳幼児発育発達に及ぼす影響-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
多田 裕(東邦大学医学部(新生児学教室))
研究分担者(所属機関)
  • 中村好一(自治医科大学(公衆衛生学教室))
  • 松浦信夫(聖徳大学人文学部(児童学科))
  • 近藤直美(岐阜大学大学院医学研究科(小児病態学))
  • 二瓶健次(横浜らいず)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における母乳中のダイオキシン類濃度およびダイオキシン類濃度と生活環境因子の関連を明らかにするとともに、母乳中のダイオキシン類が乳幼児の健康に及ぼす影響を評価する。
研究方法
平成16年度には岩手県、千葉県、新潟県、石川県、大阪府、島根県と東京都で母乳を採取した。また、大阪府において測定した初産婦の母乳中の濃度を1973年以降の経年的な測定値と比較した。乳児の健康への影響は、ダイオキシン類濃度を測定した母乳で保育された児に関し、1歳時点で診察と健康調査、採血を行い、甲状腺機能、免疫機能、アレルギ-反応などを検査した。検査後の血液に残量がある場合には合わせてダイオキシン類濃度を測定した。さらに本研究の対象児が5?6歳に達した時点で、「グッドイナフ人物画知能検査」と「子どもの行動チェックリスト」を用いてIQと行動異常を評価しダイオキシン摂取量との関連を検討した。尿路奇形児を出生した母親の母乳中のダイオキシン濃度について正常児出産の場合と比較した。
結果と考察
平成15年の母乳中のダイオキシン類濃度の平均値は19.89 pgTEQ/gFatであった。大阪府における測定では平成16年は14.15pgTEQ/gFatと、測定開始以来の減少傾向が続いていた。これらの結果はダイオキシン汚染対策の効力を示しているものと考えられた。第2子、第3子が哺乳する母乳中のダイオキシン類濃度は、第1子の時の母乳中濃度の65.5%、33.3%であった。母体のダイオキシン類濃度と新生児の体格、1歳時の免疫機能とアレルギー反応、5?6歳時のIQおよび問題行動には明らかな関連は認められなかった。ダイオキシン類摂取量が多い児では1歳時の血中のダイオキシン類濃度が成人の平均値より高かった。尿路奇形児を出産した母親の母乳中濃度が高い傾向はなかった。
結論
わが国の母乳中のダイオキシン類濃度は低下傾向であった。新生児、乳幼児の健康への影響は認められなかった。しかし、母乳からのダイオキシン類摂取量の多い児の1歳時の血中ダイオキシン濃度は成人の値より高かったことから、乳幼児への影響をさらに検討することが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-25
更新日
-