ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究

文献情報

文献番号
200401133A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 天倉 吉章(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 中川 礼子(福岡県保健環境研究所 生活化学課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
85,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダイオキシン類(DXNs)、臭素化DXNsとその関連化合物の食事経由摂取量の把握、食品汚染実態の把握、食品中DXNs測定法の開発・改良を目的とする。
研究方法
(1)全国の9機関で調製したトータルダイエット試料中のDXNsを分析し、一日摂取量を算出した。(2)市販食品112試料について、DXNsを分析した。また、魚介類の部位別分析を行った。(3)高速加熱流下抽出装置(SE-100、ダイアインスツルメンツ社製)を用いた魚試料におけるDXNsの抽出法を検討した。また、高速溶媒抽出装置(ASE-300、DIONEX社製)を用いた植物性食品におけるDXNsの抽出法を検討した。(4)魚介類45試料について臭素化DXNs及び臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)汚染調査を実施した。また、魚介類及びトータルダイエット試料について四臭素化ビスフェノールA(TBBAP)の微量分析法を検討し、汚染調査を実施した。
結果と考察
(1)DXNsの平均一日摂取量は1.41±0.66 pgTEQ/kgbw/day(範囲0.48から2.93 pgTEQ/kgbw/day)であり、日本におけるTDI(4 pgTEQ/kgbw/day)より低かった。(2)鮮魚(52試料)中のDXNs濃度は平均1.129 pgTEQ/gであった。脂質重量あたりのDXNs濃度には魚体の部位による差が小さかった。(3)SE-100を魚試料に適用した結果、従来法と同等のDXNs異性体濃度が得られた。また、ASEについても植物性食品に適用した結果、従来法と同等以上のDXNs異性体濃度が得られた。(4)生鮮魚類の一部から1,2,3,4,6,7,8-HpBDF、2,3,7,8-TeBDD、2,3,7,8-TeBDF及び3-Br-2,7,8-CDFが検出された。PBDEはすべての魚介類から検出され、四臭素化体の比率が高かった。また、生鮮魚8試料から0.14から2.98 ng/g、トータルダイエット試料の魚介類試料から0.46 ng/gのTBBPAが検出された。
結論
(1)DXNsの一日摂取量にはこの数年大きな変化は認められなかった。(2)魚介類等の個別食品中のDXNsを分析し、汚染実態を明らかにした。(3)両抽出法ともDXNs抽出が良好かつ迅速に行え、分析の迅速化に大きく貢献するものである。(4)一部の生鮮魚介類から、臭素化DXNs及びTBBPAを検出した。今後も、DXNs、臭素系DXNs及び臭素系難燃剤の食品汚染の実態及び摂取量を調査していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-08-26
更新日
-