食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401132A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉山 英男(国立保健医療科学院生活環境部)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
33,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中の有害物質の量とその分布状態を明らかにして食品の安全性を確保することは,食品衛生における基本課題である.本研究では,汚染実態・摂取量の把握,分析法の確立,食品事故事例の解析をおこない,食品中の有害物質による健康危害リスクの正確な評価を目的とする.
研究方法
食品の有害物質汚染状態の把握のために,汚染物モニタリング調査研究によりデータを経年的に収拾し,トータルダイエット調査で日常的に摂取する量・形態での食品からの化学物質への曝露状態を評価する.基礎資料に乏しい放射性物質の摂取量・被ばく線量評価のため,トータルダイエット試料を分析し,曝露状況を明らかにする.L-トリプトファン製品による好酸球増多筋肉痛症(EMS)及び変性したナタネ油による有毒油症(TOS)の原因や症状について文献調査する.水銀による健康影響の正確な評価のために,毒性の強いメチル水銀の分析法を確立する.カビ毒複合同時汚染の起きやすい食品を対象に,それらの同時分析法を開発する.
結果と考察
重金属,農薬等の汚染物摂取量は従来の結果と比較して大きな変動は見られなかった.食品中の汚染物濃度22万データを収集し,一部をFAO/WHO食品及び飼料汚染物モニタリング計画に送付した.日本国内4ブッロクでトータルダイエット試料を調製し,放射性核種の1日摂取量を求めた.EMSに関連してトリプトファン代替品について安全性に問題がないこと,TOS事故油のマーカー不純物の病因としての可能性の検討,患者血清と対照群をプロテオミックス技法で比較した論文があった.メチル水銀をシステインで転溶する2種の分析法では抽出は十分ではなく,ジチゾン転溶がベターと考えられた.フザリウム属マイコトキシン7種類を1種類の前処理で一斉分析できる方法を確立した.
結論
食品の化学汚染状況が明らかとなり,食品の安全性保証の基礎的データとなった.多種にわたる放射性核種の1日摂取量とその被ばく線量を算出した結果,曝露量は大きくないことが推定評価された.EMSやTOSに関して得られた知見をベースに,今後,同様な事故を未然に防止し,国民の安全な食生活に寄与することができる.水銀分析法研究結果は,公定法改良に役立つと考えられる.7種のマイコトキシン同時分析法の確立により,小麦中のフザリウム系かび毒の実態把握・暴露評価への活用が期待できる.

公開日・更新日

公開日
2005-06-21
更新日
-