食品製造の高度衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
200401131A
報告書区分
総括
研究課題名
食品製造の高度衛生管理に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
品川 邦汎(岩手大学(農学部))
研究分担者(所属機関)
  • 大場秀夫(社団法人日本冷凍食品協会)
  • 高谷 幸(社団法人日本乳業協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
衛生的食肉生産のため、と畜場での解体処理における微生物危害と、未殺菌生乳を原料とするナチュラルチーズ製造および冷凍食品製造における微生物汚染と危害防止について、HACCP構築に必要なデータベース化を目的とし、国内外の文献調査による基礎的データの収集と整理を行った。さらに、これらの食品を原因とする食品感染症・食中毒を防止することを目的として、各食品と密接に関連する病原細菌の汚染実態調査並びに危害分析を行った。
研究方法
各食品について、病原微生物の汚染実態および汚染の制御等の文献や書籍のデータを収集し、HACCP構築に必要な情報を抽出、整理した。と畜場への搬入牛について腸管出血性大腸菌(EHEC)O157、O26およびサルモネラの保菌状況と枝肉汚染に関して全国7カ所で実態調査を行った。加工基準のある冷凍食品に注目し、イカ類のさしみ製造工程における微生物危害を分析した。また、生乳中のリステリア汚染実態として生乳40検体を調査した。また、フランスおよびイタリアにおけるチーズ製造に関する規制を調査した。
結果と考察
各種食品製造工程におけるHACCP構築のためのデータベース構築を最終的な目的とし、国内外の文献収集を行い、さらにデータ抽出・整理を行った。と畜場搬入牛および枝肉の保菌・汚染調査では、ウシではEHEC O157の保菌率は高く、枝肉の汚染も見られ、高度衛生管理としてEHEC O157対策が最も重要であると考えられた。冷凍食品については、イカ類のさしみ製造の各工程において生菌数、大腸菌群、E. coli、および腸炎ビブリオの汚染状況を調査したところ、国内産および輸入原料のイカの汚染菌は比較的少ないことが明らかになった。また、製造工程中のベルトコンベアおよび裁断工程等で汚染菌数が高くなる傾向が見られた。ナチュラルチーズの原料である生乳40検体中4検体からリステリアが検出され、汚染の存在が示唆された。また、フランスおよびイタリアにおいては、一定の管理条件下でチーズは製造されていることが明らかになった。
結論
食品製造ならびに衛生行政に携わる人たちにとってHACCP構築のためのデータベースは、有用な資料になると考えられる。また、各食品製造段階における食中毒菌の汚染実態調査データは、微生物の危害評価を行う上で科学的根拠を与えるものであり、食品製造の高度衛生管理を実現する上で極めて有用であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-03
更新日
-