文献情報
文献番号
200401129A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス性食中毒の予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
- 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
- 田中 智之(堺市衛生研究所)
- 榮 賢司(愛知県衛生研究所 微生物部)
- 恒光 裕(動物衛生研究所七戸研究施設 環境衛生研究室)
- 有川 二郎(北海道大学大学院医学研究科附属動物実験施設)
- 宮村 達男(国立感染症研究所ウイルス第二部)
- 西尾 治(国立感染症研究所ウイルス感染症情報センター)
- 米山 徹夫(国立感染症研究所ウイルス第二部)
- 片山 和彦(国立感染症研究所ウイルス第二部)
- 李 天成(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食中毒原因食品からウイルスを定量的に検出する方法を確立する。
食品や環境のウイルス汚染実態調査を行う。
発症ウイルス量を把握するため感染実験モデルを構築する。
マーカー遺伝子を導入した組換え粒子を作製し、ウイルスの不活化条件を検討する。
定量的リスクアセスメントモデルを構築する。
食品や環境のウイルス汚染実態調査を行う。
発症ウイルス量を把握するため感染実験モデルを構築する。
マーカー遺伝子を導入した組換え粒子を作製し、ウイルスの不活化条件を検討する。
定量的リスクアセスメントモデルを構築する。
研究方法
散発性急性E型肝炎患者血清、野生動物由来の血清、便、肝臓等を用いた。E型肝炎検査マニュアルに従い抗体検出ELISA、RT-PCRによるE型肝炎ウイルス(HEV)、ノロウイルス(NoV)遺伝子の増幅を行なった。組換えバキュロウイルスを用いてHEV、サポウイルス(SaV)の中空粒子(VLPs)を作製した。ブタを用いたHEV感染実験を行った。野生動物、感染動物のHEV抗原の局在は検出蛍光抗体法で解析した。siRNAによってA型肝炎ウイルス(HAV)増殖抑制を解析した。米国FDAおよびEC科学委員会によるNoVのリスクアセスメントについてまとめた。
結果と考察
和歌山県では3型HEV遺伝子が、愛知県では4型HEV遺伝子が野生イノシシから検出された。日本シカ、エゾジカで抗体陽性のものはなかった。豚感染実験から、HEVは感染後2-4週において最も多量に肝臓と腸管中に出現し、感染後7週まではウイルスが検出される場合がある。海域に流入する下水は、処理施設によってNoVの除去効果が異なっていた。従来の下水処理法であるオキシデーションディッチ法ではNoVは十分に除去できない。わが国の生食用カキは12月、1月が高い汚染率を示した。輸入生鮮魚介類でNoV陽性が18%に見られた。ウイルス構造蛋白領域を標的にしたsiRNAが最も効率よくHAVの増殖を抑制した。SaV GI、GII、GVを検出するサンドイッチ抗原ELISAを構築した。米国FDAおよび EC科学委員会に習って微生物学的リスクアセスメントを調査した。NoVのリスクプロファイルを作成した。
結論
和歌山県の野生イノシシは3型HEV遺伝子を、愛知県のそれらは4型遺伝子を持つ。シカ、カモシカはHEV抗体陰性で遺伝子も検出されず、感染の事実はつかまっていない。ブタの感染実験から、HEVが含まれる危険性は、豚正肉よりも豚レバーや豚腸管のほうが高い。下水処理場におけるNoV除去率は処理施設により大きく異なっていた。市販カキの安全性を確保するためには、食材からのNoV検出を行わなければならない。HAVの構造蛋白を標的にしたsiRNAは増殖抑制効果が強く、A型肝炎の新規の治療薬になる可能性がある。SaV GII, GV VLPsの作出に成功し、抗原検出ELISAを構築した。
公開日・更新日
公開日
2005-06-21
更新日
-