文献情報
文献番号
200401123A
報告書区分
総括
研究課題名
畜水産食品中の残留動物用医薬品の安全性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三森 国敏(東京農工大学大学院共生科学技術研究部 動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
- 渋谷 淳(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
- 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
- 九朗丸 正道(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医解剖学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者はこれまでの研究で、ジサイクラニル(DC)やフルメキン(FL)の肝発がん機序の一部に酸化的ストレスの関与を示唆する情報を得ているが、不明な点も残されている。また、サルファジメトキシン(SDM)は甲状腺発がんを促進させることが報告されているが、その詳細な分子メカニズムは不明であることから以下の研究を行った。伝達性海綿状脳症対策部会において特定危険部位に指定された脊髄(背根)神経節の脊柱からの除去は技術的に可能か否かについて検討を行った。
研究方法
本年度は、マウスを用いた二段階肝発がんモデルにおけるDCの13週間混餌投与実験を行い、その肝について解析を行った。イニシエーション処理を施したF344ラットにSDMを4週間飲水投与し、その甲状腺を用いマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、SDMの甲状腺発がん早期過程での遺伝子発現プロファイルおよび注目遺伝子の同定を行った。FLについては、gpt deltaマウスへ13週間フルメキンを混餌投与し、その肝における酸化的DNA損傷と変異誘発作用について評価した。背根神経節除去に関する研究では、2003年7月から2005年1月までの計1155検体について背根神経節の形態計測および除去率を解析した。
結果と考察
DC投与後の肝では、前腫瘍性病変陽性巣の増加、酸化的ストレス関連遺伝子の発現増強、および酸化的損傷マーカーの有意な上昇が認められた。SDMによる甲状腺発がん過程早期での遺伝子発現プロファイル、ならびに特異的遺伝子として、細胞回転・分裂、細胞増殖抑制およびアポトーシスに関連する遺伝子の複数が同定された。FLによる酸化的DNA損傷のレベルならびにレポーター遺伝子の変異頻度に差は認められなかった。背根神経節の神経節重量、背根長などの基礎的な情報が得られた。神経節の除去率は、2003年7月の作業開始から2004年3月までには80%に達した。
結論
DCの発がん機序には酸化的ストレスを介した二次的なDNA損傷が一部関与する可能性が示唆された。SDMの発がん機序には細胞増殖抑制やアポトーシスの関与が示唆された。FLの発がん機序への酸化的ストレスの関与ならびに変異誘発作用は明らかにできなかった。現時点の技術では神経節の100%の除去は困難であり、今後さらなる技術の改良が必要である。
公開日・更新日
公開日
2005-05-25
更新日
-