食品中のカビ毒の毒性および暴露評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401122A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中のカビ毒の毒性および暴露評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所(衛生微生物部))
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷進(東京大学大学院)
  • 広瀬雅雄(国立医薬品食品衛生研究所(病理部))
  • 佐藤敏彦(北里大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現時点において我が国で基準値が設定されているかび毒はパツリンのみであり、デオキシニバレノールおよびアフラトキシンB1に関しては暫定基準値および食品衛生法第6条2項により規制するに留まっている。しかし、コーデックスなどで国際的に基準値設定が推奨されているカビ毒はトータルアフラトキシン(AFLs)、オクラトキシンA(OTA), トータルフモニシン(FBs)、ゼアラレンなど数多く存在する。本研究では我が国でまだ基準値が設定されていないにもかかわらず国際的に対応が急がれているかび毒を対象に、基準値設定の根拠となる科学的基礎データーを得ることを目的としている。
研究方法
1)AFLs、OTA、FBsの3種類のカビ毒の汚染実態調査、2)国産小麦で汚染が問題になっているニバレノールの慢性毒性試験、3)モンテカルロ・シミュレーション法による日本人のナッツ類からのアフラトキシンB1(AFB1)曝露量の推定4)AFLsの毒性評価に関する文献調査を行った。
結果と考察
1)AFLsは、市販の殻付きピーナッツ、ピーナッツ、粉ピーナッツ、コーングリッツ、ポップコーン、スイートコーン、コーンフレーク、生とうもろこし、ゴマ油、米、ソバからは検出されなかったが、ピーナッツバターの一部より3μg/kg未満の濃度が検出された。OTAは、米からは検出されなかったが、レーズン、ワイン、ビール、生コーヒー豆、煤煎コーヒー、そば粉、ライ麦、小麦粉、オートミールの一部から検出され、その濃度は大部分が1μg/kg未満であった。FBsは、押麦、コーンスープ、生とうもろこし、ソバからは検出されなかったが、ポップコーン、コーングリッツの多くより、数十μg/kg以下、1試料から100μg/kg以上のフモニシンB1が検出された。2)慢性毒性試験に用いる最高用量を決めるための予備実験を行った。3)日本人のナッツ類からのAFB1の曝露量は諸外国と比較し低かったが、ナッツ類の摂取には一部の多量摂取群存在の可能性が考えられるので、新たなモデルを用いて推定を行う必要性があると考えられた。4)AFLsの毒性評価では、アフラトキシンB2、G2の発がん性は実証されていないが、急性毒性があることからAFLsとして規制することに意味があることが明らかになった。
結論
本年度は我が国における主要かび毒の汚染実態およびナッツ類からのAFB1の暴露評価およびリスク評価を行った。これらの成果は、科学的根拠としてかび毒の基準値設定に資する。

公開日・更新日

公開日
2005-06-22
更新日
-