カドミウムを含む食品の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200401121A
報告書区分
総括
研究課題名
カドミウムを含む食品の安全性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
香山 不二雄(自治医科大学(地域医療学センター、環境医学部門))
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 兵剛(自治医科大学(地域医療学センター、環境医学部門))
  • 佐々木 敏((独)国立健康栄養研究所健康増進・人間栄養学研究系)
  • 中井 里史(横浜国立大学大学院環境情報研究院)
  • 池田 正之((財)京都工場保健会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
43,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.食品から摂取するカドミウム(Cd)の健康影響を調べるために、自家保有米およびその地域の野菜等を食している農家女性を対象に調査を行う。特に腎機能および骨密度について追跡調査を行う。
2.我が国の農作物等に含まれるCdに関する精緻な曝露評価を行う。
3.一般人口に見られる程度の尿中α1-ミクログロブリン(α1-MG)、β2-ミクログロブリン(β2-MG)上昇がなおCd曝露に特異的か否か検討する。

研究方法
1.現在、国内で最もCd曝露の高いと思われるF地域で約200名の追加調査を行った。
2.国民栄養調査のデータ及び各食品中のCd濃度測定データを収集し、加工・調理等による減衰及び各食品間における摂取量の相関等を考慮した上で、食品別摂取量、Cd濃度の分布(確率変動)を考慮した、いわゆるモンテカルロ法を援用したモデルを構築し、我が国におけるCd曝露量分布を推計した。
3.成人女性一時尿600検体を選択し、原子吸光法を用い、Cd、Mn、Ni、Co、Cuを測定した。
結果と考察
1.今年度の地域Fでの受診者数は198名で、F地域は曝露が長年E地域より高かったことが明らかとなった。平均値で比較すると尿中α1-ミクログロブリンおよびβ2-ミクログロブリン濃度はF地域でE地域より高くはなく、特に対照群のA地域と比較しても大きな差は見られなかった。この結果から、平均的にはF地域はE地域より高い曝露を長年受けていたにもかかわらず、加齢による変化を調整すれば、明らかな腎機能障害はない結果となった。
2.全Cd摂取量のうち、51-58%程度が米類に起因するという結果であった。米中0.4mg/kg以上のCd濃度を含む米が流通しなかった場合、Cd摂取量は、規制がない場合と同様に、年齢が上昇するに従ってCd摂取量が増える傾向があった。
結論
1.過去の暴露量が高いと考えられるF地域の農家女性受診者においても、加齢による変化を考慮すると、明らかな腎機能への影響は見られなかった。
2.コーデックス基準値原案から米の基準値のみを変化させた場合のシミュレーション結果を、原案による結果と比較したところ、分布には大きな違いは認められなかった。
3.α1-MG、β2-MGの値は尿中CdのみならずCuによっても有意に上昇し、上昇の程度はCdよりもCuの方がより顕著であった。Co濃度の上昇はα1-MG、β2-MGレベルに全く影響を与えなかった。

公開日・更新日

公開日
2005-07-04
更新日
-