職場における心臓突然死や事故発生に及ぼす失神・睡眠障害等の潜在危険因子の早期発見とその対策に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200401112A
報告書区分
総括
研究課題名
職場における心臓突然死や事故発生に及ぼす失神・睡眠障害等の潜在危険因子の早期発見とその対策に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安部 治彦(産業医科大学(第二内科学))
研究分担者(所属機関)
  • 野上 昭彦(横浜労災病院(冠疾患集中治療部))
  • 住吉 正孝(順天堂大学医学部付属静岡病院(循環器科))
  • 中村 純(産業医科大学(精神医学))
  • 鈴木 秀明(産業医科大学(耳鼻咽喉科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,212,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年、職場における就労事故や突然死の原因は、肉体的・精神的・環境的ストレスと就労者自身に存在する潜在的要因との関係が主体となりつつある。本研究では、就労事故や突然死を来しうる原因として、就労者に存在する潜在性要因とストレスや職場環境の及ぼす影響について調査・検討し、更にその早期発見や対策についての研究を行うことである。
研究方法
 本研究では、5つの研究プロジェクトについて行っている。1)就労者に発生する心臓突然死の潜在的因子の早期発見と対策、特に非虚血性心臓突然死(ブルガダ症候群)の早期検出について、2)失神と就労事故、特に神経調節性失神や状況失神の発生とストレスとの関連性、3)職場環境と電磁障害、特にペースメーカや植え込み型除細動器(ICD)患者の職場復帰に関する諸問題や終業における安全対策、4)就労者の突然死発生に係るメンタルヘルス、特に就労者の自殺との関連、5)睡眠呼吸障害と就労事故・外傷の実態調査と予防安全対策、について調査研究を行った。
結果と考察
1) 某企業の一般検診24129例を対象とした検討では、ブルガダ型心電図異常は1.07%に認められた。ブルガダ症候群7名で簡易確定診断方法として糖・インスリン負荷法を用いてその有用性を検討したが、全例で要請であり本負荷法の有用性が確認され、今後実用化に向け応用していきたい。2)神経調節性失神ならびに状況失神の発症時間は、いずれも午前中に多いことが判明した。また、失神の発症には明らかにストレスの関与を認めた。自宅あるいは職場でも簡単に行える起立調節訓練(トレーニング治療)は、失神予防に非常に有益である。3)デバイス患者の職場と電磁障害を調査した。職場には、電磁障害の影響を受ける多くの職域が存在することが調査から明らかとなった。また、ICD患者の職場復帰に関する全国アンケート調査では、辞職・休職が3割を占め、元の職場への復帰はわずか3割の患者であることが判明した。4)自殺とうつには重大な関連性があり、男性は女性の2.5倍高い自殺発生率であった。5)大手自動車工場社員2250名の調査から、睡眠時無呼吸症候群は就労事故の独立した危険因子であることが判明した。また、精度の高いスクリーニング方法として、問診のみでなく身体情報を加えることで精度を向上することができる。
結論
 本研究では、就労者の事故や突然死に係る潜在的要因の早期発見とその対策に関する調査研究である。更なる調査研究が必要であることは明白ではあるが、これらの研究結果を施策に反映していくことも今後考慮すべきであるとかんがえられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-