労働者を取り巻く環境の変化を踏まえた今後の労働衛生管理体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200401108A
報告書区分
総括
研究課題名
労働者を取り巻く環境の変化を踏まえた今後の労働衛生管理体制のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 栄二(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森 晃爾(産業医科大学)
  • 山田 誠二(松下産業衛生科学センター)
  • 栗原 伸公(神戸女子大学)
  • 錦谷 まりこ(帝京大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、パート、嘱託、派遣など非正社員の増加に見られる雇用の多様化を中心とした近年の労働環境の変化の実情を把握し、そこから生ずる問題を整理して、それらに対応した労働衛生管理体制を提示する事である。研究初年度の平成16年度は、従来あまり検討されることがなく未整理な面の多いこの問題について、全国や事業所の状況を収集し整理して把握することと、その中で明らかになった問題点を提示することを主に目指した。
研究方法
雇用の多様化を中心とした労働環境の変化とその労働衛生管理とのかかわりついて、大企業から中小企業にまでいたるさまざまな規模の事業所の産業医や衛生管理担当者、人事担当者から情報収集を行った。また既存全国調査の二次解析からも情報を集めるとともに、新聞からの事例収集も行った。こうして得られた情報を、作成した問題点整理のための枠組みを用いて解析検討した。また、就業形態と健康状態の事例研究も行った。
結果と考察
個々の企業はもとより全国レベルで、雇用の多様化と非正社員の増加が進行し、雇用形態の差が、労働者の直接の雇用条件のみならず生活や家族、労働者の生涯にまでかかわる差につながっている事が示された。こうした状況に対して事業所では、雇用の多様化に伴う人的多様性について統一的な把握がなされておらず、人事担当者ですら知らない労働者が事業所内で働いている場合もあった。そのため、労働衛生活動を行う部局でも活動の対象が明確となっていないことが多かった。結果として安全衛生面も含め労働者間の連絡連携が不十分で、健康教育、健康障害の防止、健康管理、問題発生後の対応のいずれにおいても雇用形態間での差があり、問題が考えられた。一方、全体を掌握できる担当者が置かれた中小企業では、比較的状況が良く把握されていた。
結論
当面、雇用の多様性を横断した統一的な人事把握、連絡連携の充実、管理責任体制の明確化等の対策が必要である。またそれだけでなくより根本的には、労働安全と同様に労働衛生管理においても労働する場における一律の管理への移行が求められよう。次年度は改善策実施にあたっての問題点の整理と対応策、およびより本質的な解決に至る方策の可能性を検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-