臭素化ダイオキシン類の毒性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401104A
報告書区分
総括
研究課題名
臭素化ダイオキシン類の毒性評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 静護(日本バイオアッセイ研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
31,641,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臭素化ダイオキシンによる労働者の健康障害を防止する施策を行うための基礎データを得ることを目的として、臭素化ダイオキシン類の労働現場における暴露形態に合わせた動物への吸入暴露代替法としての経気道投与による毒性を評価した。さらに、塩素化ダイオキシン類との毒性比較に必要な経口投与による毒性(臓器毒性や生殖毒性等)と比較する。
研究方法
動物への吸入暴露代替法としての経気道投与技術を用いて、臭素化ダイオキシンの単回気管内投与毒性に関する研究を行った。すなわち、2,3,7,8-四臭化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(以下、TBDD)をCrj:Wistarラット雌雄に1.2μg/kg、0.455μg/kgおよび0μg/kg(対照群:溶媒のみ)一回気管内投与し、投与後2日および7日にそれぞれ3匹の動物を解剖し、その生体影響および体内負荷量を検索した。
結果と考察
1) 肝臓、脂肪のTBDD濃度は投与後2日目では経口投与の結果と比較的よく一致した。
2) 肺のTBDD濃度は2日と7日ともほぼ同じ値であり、その後の推移については、比較的長い期間肺に残留する可能性が考えられた。
3) 肝臓重量の増加が投与後7日に認められ、経口投与と類似した生体影響が認められた。
結論
TBDDの気管内投与による生体影響および体内負荷量の挙動は、経口投与のそれと類似していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200401104B
報告書区分
総合
研究課題名
臭素化ダイオキシン類の毒性評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 静護(日本バイオアッセイ研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臭素化ダイオキシンによる労働者の健康障害を防止する施策を行うためのデータを得ることを目的として、動物に、2,3,7,8-四臭化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(TBDD)を労働現場における暴露形態に合わせた経気道投与及び塩素化ダイオキシン類との比較に必要な経口投与を行い毒性を評価した。
研究方法
1)単回経口投与:TBDDをラット雌雄に単回強制経口投与後、経時的に解剖した。
2)生殖発生毒性:TBDDを妊娠8日のラットに単回強制経口投与した。
3)吸入暴露代替法としての単回気管内投与:TBDDをラット雌雄に単回気管内投与し、投与後2及び7日に解剖した。
結果と考察
1)単回経口投与
動物の死亡、胸腺、肝臓、骨髄、脾臓へ遅延的な毒性が認められ、死因は肝臓と血液系、特に血液凝固能への毒性と考えられた。
2)生殖発生毒性
母動物は体重抑制、血小板の減少、肝組織変化、死産等、胎児は子宮内死亡、全身浮腫、胎児重量と胎盤重量の低下、奇形、骨格、内臓変異等、出生児は身体発達の早期化、甲状腺ホルモンへの影響、肝臓の誘導酵素群の増加、肝臓の空胞化、前立腺重量の低下等が認められた。体内負荷量測定の結果、TBDDの胎盤移行と乳汁移行が確認された。
3)単回気管内投与
経口投与と同様に肝臓重量の増加がみられ、体内負荷量は、投与後2日の肝臓、脂肪で経口投与の結果と類似しており、TBDDの気管内投与は経口投与とその生体内挙動が似ていることが示唆された。肺の濃度は7日までほぼ同じ値で、比較的長い期間肺に残留する可能性があると考えられた。
結論
TBDDのラットの致死量はTCDDとほぼ同等で、TBDDによる死因は血液凝固系の障害による出血死と考えられた。免疫系(胸腺)への影響はTCDDより高い用量でみられた。造血機能の抑制、肝臓の重量増加、酵素誘導がTCDDとほぼ同じ用量でみられたが、特にTBDDは単回投与にもかかわらず、TCDDの長期間投与と類似した肝細胞の病理変化が認められた。胎児への影響はTCDDに類似していたが、口蓋裂や水腎症の発生もみられた。児への影響はTCDDと異なっていた。以上から、TBDDの生体内挙動は気管内投与と経口投与で類似していた。また臓器毒性、生殖発生毒性は多くの点でTCDDに類似していたが、TCDDにはみられない影響も認められた。

公開日・更新日

公開日
2006-05-12
更新日
-