リサイクル品・廃棄物処理工場での粉塵爆発災害の防止に関する研究

文献情報

文献番号
200401102A
報告書区分
総括
研究課題名
リサイクル品・廃棄物処理工場での粉塵爆発災害の防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
荷福 正治((独)産業技術総合研究所爆発安全研究センター気相爆発研究チーム)
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 貞茲((独)産業技術総合研究所爆発安全研究センター気相爆発研究チーム)
  • 八島 正明((独)産業安全研究所化学安全研究グループ)
  • 山隈 瑞樹((独)産業安全研究所物理工学安全研究グループ)
  • 竹内 学(茨城大学工学部電気電子工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,476,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
粉塵・ガス混合気の爆発のしやすさと爆発強度、着火源形成特性、爆発災害防止対策等の検討・解明を行い、粉塵爆発災害の防止を目指す。
研究方法
吹上げ式粉塵爆発実験装置と20 L型粉塵爆発試験装置を用い、爆発筒と空気配管系を所定のガスに置換して、爆発下限濃度、可燃性ガスの共存が粉塵爆発に及ぼす影響、爆発限界酸素濃度、相対湿度が粉塵爆発に及ぼす影響、爆発強度等を検討した。小型鉛直燃焼管を使い火炎挙動の検討や燃焼性評価、研磨器を用い帯電機構や粉塵の着火機構、ハルトマン試験装置を用い、最小着火エネルギーや静電気放電に起因するポリマー粉末の着火可能性、熱刺激電流や熱刺激表面電位減衰測定により破砕・粉砕による静電気発生を調べた。
結果と考察
ポリウレタン粉塵の爆発下限濃度は40 g/m3程度で、シクロペンタンガスとの共存により、爆発性は大となる。爆発限界酸素濃度は約12.5 %であり、相対湿度約90 %以上で爆発抑制効果がある。最小着火エネルギーは約11 mJ、爆発指数は最大約70 bar・m/sである。プロパン-PMMA粉-空気のハイブリッド混合気の爆発伝ぱ速度は53 cm/sで、ハイブリッドの場合には火炎が長くなり、燃焼量増加や火炎伝ぱ速度の増加などがある。研磨器を用いる粉砕工程は微細な粉塵を生じ、マグアル合金は10mJ以下で爆発する。研磨工程は静電気の発生量が大きく、1マイクロA以上の電流を発生する。各種ポリマーの中でエポキシは燃焼に伴う発熱量が大で、エポキシの最小着火エネルギーは数mJ以下と小さい。熱刺激電流や熱刺激表面電位減衰測定により、試料に蓄積されている電荷量を見積もることができた。試験したポリマーでは80oC程度に加熱すると電荷が消失した。
結論
リサイクル品や廃棄物の処理工程、特に、冷蔵庫処理工程ではポリウレタン粉塵の発生に加え、断熱材発泡ガスが放出され、粉塵爆発を促進する危険がある。発塵空間の酸素濃度を12.5 %程度、相対湿度を約90 %以上にすると爆発抑止に効果的である。ハイブリッド混合気では相乗効果によって爆発性(燃焼性)が大となる。粉砕等では特に機器や作業者が帯電しやすいので、静電気を発生しにくい部品や構造を採用するべきである。各種ポリマーの中でエポキシは激しく燃焼し、燃焼後の残渣も少ない。TSC測定、TSCD測定により破砕・粉砕工程で粉塵に生じた電荷量を見積もることができる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
200401102B
報告書区分
総合
研究課題名
リサイクル品・廃棄物処理工場での粉塵爆発災害の防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
荷福 正治((独)産業技術総合研究所爆発安全研究センター気相爆発研究チーム)
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 貞茲((独)産業技術総合研究所爆発安全研究センター気相爆発研究チーム)
  • 八島 正明((独)産業安全研究所化学安全研究グループ)
  • 山隈 瑞樹((独)産業安全研究所物理工学安全研究グループ)
  • 児玉 勉(元(独)産業安全研究所機械システム安全研究グループ)
  • 竹内 学(茨城大学工学部電気電子工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
粉塵の爆発し易さ・着火性、粉塵爆発強度・ガス爆発性、着火源形成評価、着火源の形成危険性、災害防止対策等の解明・検討を行い、粉塵爆発災害の防止を目指す。
研究方法
吹上げ式粉塵爆発試験装置、20 L型粉塵爆発試験装置、レーザーシート光学系システム、沿面放電実験装置、模擬集じん機及び研磨器、粉体塗装ガン、ブローオフ帯電試験装置等を用い、爆発下限濃度、爆発性と粉塵粒度の関係、放電条件と着火の関係、粉塵の挙動、粉塵とガス混合気の爆発圧力、火炎伝ぱ挙動、静電気放電よる粉塵着火機構、イオン化ポテンシアル、帯電量低減の流送条件、最小着火エネルギー、摩擦帯電特性と相対湿度の関係、破砕・粉砕による静電気の発生量、電荷の散逸挙動等を検討した。
結果と考察
ポリウレタン粉塵の爆発下限濃度は約40 g/m3、粉塵雲着火温度は概ね500oC、最小着火エネルギーは約11 mJ、爆発限界酸素濃度は約12.5 %、爆発抑制相対湿度は約90 %以上、最大爆発圧力は5.5 bar、爆発指数は70 bar・m/sであるが、シクロペンタンガスと共存すると燃焼量や火炎伝播速度は増加するものの、濃度約5,300 ppmまでは爆発指数と最大爆発圧力はさほど変化しない。沿面放電は背板が細い導体線の場合には放電電荷量が大で、フィルタ表面からのはく離では大きな帯電量を示す。流送帯電量の減少には流送速度を小さく、輸送空気の湿度を高くする、粉体と輸送パイプ内壁のイオン化ポテンシアルを近づけることなどが有効であり、BaTiO3粉末のTSC測定結果より、摩砕による電荷量を見積もることができること、摩砕に伴って蓄積電荷量が増加することなどが分かった。
結論
リサイクルや廃棄物処理工程では多量の粉塵が発生し、冷蔵庫処理工程で発生するポリウレタン粉塵は爆発性が大であり、シクロペンタンが放出されると爆発性が大となる。発塵空間の酸素濃度を約12.5 %、相対湿度を約90 %以上にすると爆発抑制効果がある。粉塵ガス混合気では燃焼量が増加し、相乗効果によって爆発強度が増す。金属板または導体線を接地背板とする沿面放電の場合エネルギーの大きな放電が生じ、有機物粉塵に対して着火性を有する。流送帯電の抑制には、流送速度を小さくする、空気の湿度を高くする、粉体とパイプ内壁のイオン化ポテンシアルを近づける、相対湿度を高めることなどが効果的である。爆発抑制装置、爆発圧力放散設備等の導入も更なる安全確保のために必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)