文献情報
文献番号
200401101A
報告書区分
総括
研究課題名
フロン代替溶剤1-ブロモプロパンのリスク評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
那須 民江(名古屋大学大学院(医学系研究科))
研究分担者(所属機関)
- 市原 学(名古屋大学大学院(医学系研究科))
- 上島通浩(名古屋大学大学院(医学系研究科))
- 柴田英治(愛知医科大学 医学部)
- 小川康恭(産業医学総合研究所 作業条件適応研究部)
- 毛利一平(産業医学総合研究所 作業条件適応研究部)
- 平田衛(産業医学総合研究所 有害性評価研究部)
- 齊藤宏之(産業医学総合研究所 有害性評価研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,552,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
動物実験による因果関係の証明、毒性機序の解明、動物からヒトへの外挿の際に有用な内部曝露マーカーの確立、ヒト調査を行うことによって総合的に1-BPのリスク評価を行い、衛生基準の設定のための科学的基礎資料を提供する。
研究方法
F344雄ラットおよびWistar Nagoya雄ラットを1000ppm4週間曝露した。ラット尾の神経伝導速度、遠位潜時を測定するとともに、解剖時、脳を部位別に分け重量を測定した。Wistar雄ラットに1-ブロモプロパン50ppm、4週間曝露を行い、頚静脈からの継時的採血を行い、蛋白付加物S-Propylcysteinの曝露時間依存性を検討した。最後に1-ブロモプロパンに曝露された労働者の健康調査を行った。
結果と考察
F344ラットにおいて1-ブロモプロパン1000ppm、4週間曝露によって、大脳皮質および中脳の重量が有意に減少することがわかった。一方、WsitarNagoya(WNA)ラットにおいては、CaudatePutamenが有意に減少し、系統によって萎縮の場所が異なることが示唆された。また、F344ラットは1-ブロモプロパン1000ppm曝露に対してWNAラットよりも早期に遠位潜時を延長させた。50ppmの1-ブロモプロパン4週間曝露したラットから、継時的に頚静脈より採血を行い、グロビン蛋白付加物S-Propylcysteineを測定した結果、時間依存的に増加することが明らかとなり、長期曝露指標として有効であることが明らかとなった。1-ブロモプロパンに曝露された40人の労働者と性、年齢を一致させた40人の非曝露労働者との比較において、曝露群は対照群に比べて有意に下肢運動神経伝導速度が低下し、遠位潜時が延長していることがわかった。また、血清総蛋白が高いこともわかった。これらの変化はラットにおいても既に確認されているが、運動神経伝導速度と血清総蛋白の変化のヒトでの報告はこれが初めてである。
結論
職場調査によって50ppm以下の曝露濃度により神経伝導速度に悪影響を与える可能性が示唆されたが、過去においてより高い濃度の1-ブロモプロパンに曝露されていた可能性も高い。曝露濃度は変動があり、また、個々の労働者の作業が固定されていないため、長期の曝露濃度の評価が正確な量-反応関係の確定のためには必要である
公開日・更新日
公開日
2006-05-12
更新日
-