うつ病を中心としたこころの健康障害をもつ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究

文献情報

文献番号
200401098A
報告書区分
総括
研究課題名
うつ病を中心としたこころの健康障害をもつ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
島 悟(東京経済大学経営学部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 稔(日本私立学校振興・共済事業団東京臨海病院)
  • 秋山 剛(NTT東日本関東病院)
  • 廣 尚典(アデコ㈱健康支援センター)
  • 小泉 典章(長野県精神保健福祉センター)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院 医学系研究科・細胞情報医学専攻・脳神経病態制御学講座・精神医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(2000年旧労働省)」にのっとり、うつ病などのメンタルヘルス不全者の職場復帰・職場適応の促進のための重層的な支援システムの開発を目標とする。
研究方法
上記の目的を踏まえ、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に即して、1、セルフケア、2、ラインによるケア、3、事業場内産業保健スタッフによるケア、4、事業場外資源によるケアに関して検討を行う。
結果と考察
1.復職に関する精神科医調査を行い、復職支援における主治医の果たす役割には非常に大きいものがあるものの、診断書における病名記載方法や復職判定等において温度差のあることが明らかになった(島 悟)。
2.当事者を対象とした調査を行い、「再発」、「復職不成功」などが、大きな不安要因となっていることが明らかにされた(島 悟、荒井 稔)。
3.職場不適応における復職支援および残遺症状(後遺症状)における復職支援に関してマニュアルを作成した(島 悟)。
4.うつ病における復職支援について、うつ病急性期を過ぎた時点で職場復帰を目指した治療上の配慮、職場復帰システム、復職判定ツールの検討を行った(尾崎 紀夫)。
5.不安障害について検討し、気質は対人関係に関するストレスに非常に大きな影響力を持つことが明らかにされた(秋山 剛)。
6.アルコール依存症例の職場復帰支援マニュアルの作成を行った(廣 尚典)。
7.公的機関における復職プログラムをまとめた(小泉 典章)。
8.総合病院における職場復帰援助プログラムについて検討し、集団認知療法の前後で、抑うつ傾向、考え方のクセへの認識、問題解決スタイルが改善を示した(秋山 剛)。
9.職場復帰後の転帰について検討したが、「総病欠期間」が平均就労継続期間に影響を及ぼした(秋山 剛)。
10.復職判定のツール(一般と機能評価)の開発・検証を行った(秋山 剛)。
結論
うつ病等の職場復帰支援に関わる調査研究を行い、モデル事業を展開して、復帰支援を円滑に行えるようなツール・マニュアルの開発を行った。得られた知見は、労働衛生行政に寄与するところが大きいと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200401098B
報告書区分
総合
研究課題名
うつ病を中心としたこころの健康障害をもつ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
島 悟(東京経済大学経営学部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 稔(日本私立学校振興・共済事業団東京臨海病院精神科)
  • 廣 尚典(アデコ㈱健康支援センター)
  • 秋山 剛(NTT東日本関東病院精神神経科部長)
  • 倉林 るみい(独立行政法人産業医学総合研究所)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院 医学系研究科・細胞情報医学専攻・脳神経病態制御学講座・精神医学分野)
  • 毛利 一平(独立行政法人産業医学総合研究所)
  • 小泉 典章(長野県精神保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(2000年旧労働省)」にのっとり、うつ病などのメンタルヘルス不全者の職場復帰・職場適応の促進のための重層的な支援システムの開発を目標とする。
研究方法
上記の目的を踏まえ、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に即して、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフによるケア、4、事業場外資源によるケアに関して検討を行う。
結果と考察
文献研究では、うつ病の職場復帰は必ずしも良好とは言えない。休業者の実態調査では、事業場において復職に関して種々の困難性があり、それぞれの事業場において数々の取り組みがなされているものの、その内容にはばらつきが大きいことが明らかになった。
 精神科医を対象とした調査では、復職支援における主治医の果たす役割には非常に大きいものがあるものの、診断書における病名記載方法や復職判定等において温度差のあることが改めて明らかになった。当事者調査の結果からは、休職中には労働者が様々な悩みを高頻度に抱いていることが明らかにされた。事業場内資源による休職中の労働者ケアの重要性が再認識された。
 職場復帰の転帰に関する研究では1年後に就業継続は約2/3であり、転帰は必ずしも良好ではないことが明らかになった。復帰プログラムを導入した研究では復職1年後の就労継続率は82%であり、プログラムの有効性が示唆されている。復職後の転帰に影響する要因を検討したが、うつ病の労働者の職場復帰にあたっては、当該労働者の業務内容を吟味し、必要に応じて軽減措置を講じることが重要な支援となることが確認された。
 日本障害者雇用促進協会の事業は積極的に復職プログラムの中に位置づけられると考えられた。また県職員を対象とした復帰支援モデル、総合病院における復帰支援モデル、事業場における復帰支援モデルの検討が行われた。
 復職判定のツール3種類を開発し、疾患・病態別の復職支援のマニュアル作成を行った。
結論
3年間の研究において様々な観点から精神障害にともなう疾病休業における復職支援の現状やあり方に関して検討を行った。この研究成果が、心の病を持つ労働者の職場復帰支援を中心とする労働衛生行政に寄与しえると考える。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-