文献情報
文献番号
200401095A
報告書区分
総括
研究課題名
産業中毒の予防と診断のための生体試料中有害物質及びその代謝物・付加体の超微量分析手法の開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
森田 陽子(独立行政法人労働者健康福祉機構 東京労災病院産業中毒センター)
研究分担者(所属機関)
- 圓藤 陽子(独立行政法人労働者健康福祉機構 東京労災病院産業中毒センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
曝露評価法が未確立の化学物質について、診療現場に応用可能な生体試料を用いる評価法の開発を目的とした。対象物質は①感作性物質であるイソシアネート類のTDIとMDIについて、其々の代謝物である尿中トルエンジアミン(MDA)と、血清中メチレンジアニリン(MDA)、②有機リン系農薬の曝露指標として、尿中代謝物のジアルキルリン酸、③ヒ素系化学兵器のトリクロロアルシン、ルイサイトジフェニルクロロアルシン、ジフェニルシアノアルシンについて、尿中無機ヒ素とジフェニルアルシン酸(DPAA)を選び検討した。
研究方法
①TDI作業者では、個人曝露濃度および作業前後の尿中TDAをGC-MSにより測定した。MDI曝露作業者の血清中MDA濃度をGC-MSにより経時的に測定した。②ジアルキルリン酸(ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジエチルチオリン酸、ジエチルジチオリン酸)を一斉分析するためにGC-MSの分析条件を検討した。③尿中無機ヒ素およびジフェニルアルシン酸(DPAA)を高感度で一斉分析するために、HPLC-ICP-MSによる測定条件を検討し、正常値の検討を行った。
結果と考察
①TDA分析において微量試料(0.1 mL)による処理時間の短縮(加水分解時間を1.5時間に短縮)を可能とした。作業後の尿中TDA濃度はTDIの個人曝露濃度と相関し、2,6-TDIの管理濃度(5ppb)に相当する尿中2,6-TDAは31.6μg/gクレアチニンであった。MDI曝露作業者3名の血清中MDA濃度の推移を観察し、半減期は16.9~42.5日と算出された。③4種のジアルキルリン酸を20分以内に分析が可能であり、検量線の直線性も良好であった。④尿中のDPAA,無機ヒ素、メチル化ヒ素は30分以内に分析可能で、DPAAの検出感度、検量線の直線性、再現性も良好であった。無機ヒ素曝露の評価には、無機ヒ素とモノメチル化ヒ素の合計が適切と考えられた。
結論
①今回作成した微量試料による尿中TDA測定法は、TDI曝露の生物学的モニタリングとして有効である。血清中MDAの半減期は長く、過去の曝露の推定に役立つと考えられた。②4種の尿中ジアルキルリン酸の一斉分析が可能であり、有機リン系農薬曝露の生物学的モニタリングとして有効である。③今回作成したヒ素化合物の一斉分析は、ヒ素系化学兵器処理作業者の曝露管理のみならず、無機ヒ素曝露の生物学的モニタリング法として有効である。
公開日・更新日
公開日
2006-05-12
更新日
-