作業環境中有害物質濃度の連続測定による二次元可視システムの開発とその応用

文献情報

文献番号
200401094A
報告書区分
総括
研究課題名
作業環境中有害物質濃度の連続測定による二次元可視システムの開発とその応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
神山 宣彦(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 芹田富美雄(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
  • 菅野誠一郎(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
  • 小西淑人(社団法人日本作業環境測定協会調査研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,538,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、濃度情報をリアルタイムに可視化するシステムを開発し、これによって得られた濃度データにより作業環境管理をより効果的に実施し、作業者への有害物質への暴露を防止軽減するためのものであり、そのための有害物濃度測定器、パーソナルコンピュータ(PC)のハードウエアと、双方を結ぶデータ通信システム、濃度データの解析と画像化処理を行うためのソフトウエアを開発、製作するものである。本年度は、作成したハード、ソフトの動作の確認試験を行い、さらなる改良を加える。
研究方法
前年度までに作成したデータ回収・記録プログラムをより短時間毎の濃度測定データを回収できるよう改良した。また受信した濃度データを計算処理してPCの画面上に棒グラフを表示させていたが、よりグラフィカルヒューマンインターフェイスに優れた表示ソフトウエアとする為に濃度を表示する画像を棒グラフから等高線表示に改めるなどの改良を行う。
結果と考察
様々な環境が予想される作業現場での使用を想定し、堅牢なものとし、長時間稼働のために大型バッテリーを装着した。さらに、電源のオンオフ以外は、全てソフト上で行うよう改良し、測定器側の設定作業は一切不要となった。
測定器の配置、測定時間、回収間隔を変えて濃度画像の作成を試みた。20台の測定器を用い、測定を5秒間毎に行うよう設定した場合にも、濃度データを確実に回収し保存することができ、またデータ回収中に通信不良によるタイムアウトエラーを生じさせたが、回収漏れを生じることなく全てのデータが回収され、回収用ソフトウエアの有効性が確かめられた。短時間で多数の測定器からのデータ回収ができるようになったために、測定実施中の濃度画像の表示間隔も短縮された。棒グラフ表示を等濃度面表示に改良したことで濃度変化の様子が把握しやすいものとなった。画像には、粉じんが空気の流れに乗って移動し、拡散してゆく様子が詳しく表示された。
結論
回収したデータをどのように処理すれば、直感的にわかりやすい表示を素早く描画できるかという部分と、作業現場での使用をより安全なものとするために、測定実施時に必要となる様々な手続きが簡略なものとなるよう改良を加えたことで、測定器の設定操作が全てPC側から行えるようになるなど、測定時の操作性を高めることができた。また、グラフィカルな等濃度面画像を遅くとも3分間毎に表示することができ、濃度の変化の状況が即時的かつ直感的に把握しやすくなり、作業環境管理への有効な道具として充分な能力を持つシステムとなったと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200401094B
報告書区分
総合
研究課題名
作業環境中有害物質濃度の連続測定による二次元可視システムの開発とその応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
神山 宣彦(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 芹田 富美雄(産業医学総合研究所 作業環境計測研究部)
  • 菅野 誠一郎(産業医学総合研究所 作業環境計測研究部)
  • 小西 淑人(社団法人 日本作業環境測定協会 調査研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、濃度情報をリアルタイムに可視化するシステムを開発し、これによって得られた濃度データにより作業環境管理をより効果的に実施し、作業者への有害物質への暴露を防止軽減するためのものであり、そのための有害物濃度測定器、パーソナルコンピュータ(PC)のハードウエアと、双方を結ぶデータ通信システム、濃度データの解析と画像化処理を行うためのソフトウエアを開発、製作するものである。
研究方法
測定器を多数設置し継続して濃度計測を行い、そのデータを回収し、PC画面に表示する。まず通信機能を持った測定装置を製作した。PCには、送られてくるデータをファイルとして保存すると共に、すぐさまディスプレイ上に濃度を表す画像を表示する為のソフトウエアを作成した。1台の測定器が出力する濃度データを回収保存することから始め、その後20台以上の測定器からのデータの回収保存を可能にした。これと併行して受信した濃度データを計算処理してPCの画面上に棒グラフを表示させた。その後、等濃度面表示を表示するよう改良した。
結果と考察
濃度データの確実な回収のために、無線データ通信システムを採用した。測定器、通信機能付きPC、データ回収画像用ソフトを製作し可視化システムを構成した。これを用い、測定器1台による24時間連続の測定、次に3台による測定を行い、データの保存機能を確かめた。画像表示は、初め棒グラフ表示としていたが、濃度変化を把握しやすい等濃度面表示に改良した。併せてデータ回収法も変更し、短時間で多数の測定器からのデータ回収を可能にした。回収動作毎の画像の表示間隔も短縮した。改良したハード、ソフトの動作確認のため、15、20台の測定器を配置し、配置、測定時間、回収間隔などを変えて画像を作成した。20台の測定器を配置し、測定を5秒間毎に行うよう設定した場合にもデータを確実に回収でき、回収用ソフトウエアの有効性が確認できた。画像には、粉じんが空気の流れに乗って移動し、拡散してゆく様子が詳しく表示された。
結論
環境常時モニターできるので、作業様式の変更、事故や修理などによる高濃度領域の発生などの作業環境の変化に作業者や事業主が適切に対応できる。作業者のばく露に最も影響を与える作業を特定できる。さらに、有害物を取り扱う作業者の自発的な防護行動や環境改善への動機付けなど、安全衛生活動に対する教育的効果をあげることができると考えられる。また、有害物質を取扱う作業者へのばく露量の減少や環境濃度の低減により、各種の職業疾病の防止効果も期待できる。このように、極めて有用なシステムであると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-19
更新日
-