健康増進効果の高い保健指導の方法等に関する研究

文献情報

文献番号
200401091A
報告書区分
総括
研究課題名
健康増進効果の高い保健指導の方法等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
圓藤 吟史(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 林   朝茂(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 岡田 邦夫(大阪ガス株式会社健康開発センター)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 伊達 ちぐさ(武庫川女子大学生活科学部)
  • 米田  武(NTT西日本関西健康管理センタ)
  • 朝枝 哲也(財団法人京都工場保健会)
  • 酒井 英雄(星田医院・社団法人大阪府医師会)
  • 佐藤 恭子(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,543,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 保健指導に必要な2型糖尿病の新規発症の予防に関するエビデンスを明らかにし、事業場に適した効果的な保健指導の提供システムを検討した。
研究方法
 大規模前向きコホートを用い、2型糖尿病発症に及ぼす影響について多重ロジスティック回帰解析にて解析した。
 「集団健康処方」と通信制のフォローアッププログラムを行い、生活習慣改善支援のプログラムの効果を確認した。1年間に16日間の食事記録法を実施し、この平均値をゴールドスタンダードとして食物摂取頻度調査法の妥当性を検討した。Web上に開示した「心と身体の健康調査票」を用いて、ストレスの負荷程度と自殺念慮との関連を検討した。総コレステロール高値の者を対象に、自己採血法による動機付け群と対照群に分け、保健指導を実施し、効果を比較した。小規模事業場の産業保健の活動状況についてアンケート調査を行った。
結果と考察
 喫煙習慣および、BMIが22.0-23.9 kg/m2の群以上の群は対照に比して有意に高い2型糖尿病の発症を示し、運動を定期的にする群、アルコール摂取量が23.0 g/日以上の群は有意に低い発症を示した。
 禁煙指導を含む生活習慣改善支援のプログラムに53.3%の従業員が参加し、健康づくりの自己目標を58.1%の参加者が1ヶ月間達成することができ、21.2%の参加者が6ヶ月時点においても達成していた。栄養素等摂取量の評価には立体モデル、写真モデルで大差は認められなかった。ストレスが身体面・精神面に影響が出ている程度が大きくなるほど自殺念慮も強くなる傾向が認められた。自己採血法による動機付け群は対象群よりも有意にコレステロール値が減少した。単独企業分散型、請負・資本関係型の小規模事業場で産業医は多く選任され、保健指導は産業医のいないところでも工夫して実施されていた。
結論
 喫煙習慣および、肥満の判定で普通に当たる22.0-23.9 kg/m2のBMIが糖尿病発症の危険因子であること、運動を定期的にする群、アルコール摂取量が23.0 g/日以上の群では、2型糖尿病発症のリスクを軽減することが明らかになった。
 食物摂取調査で、米飯のみ個人別ポーションサイズを適用し、米飯以外はある特定の値をポーションサイズとして適用しても良いと考えられた。
 Webを用いたメンタルヘルス対策を含む保健指導支援システム、自己採血による動機づけ、事業場の類型に応じた保健指導が有効と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200401091B
報告書区分
総合
研究課題名
健康増進効果の高い保健指導の方法等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
圓藤 吟史(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 岡田 邦夫(大阪ガス株式会社健康開発センター)
  • 伊達 ちぐさ(武庫川女子大学生活科学部)
  • 津村  圭(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 林  朝茂(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 佐藤 恭子(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 米田  武(NTT西日本関西健康管理センタ)
  • 朝枝 哲也(財団法人京都工場保健会)
  • 酒井 英雄(星田医院・社団法人大阪府医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
効果的な禁煙、運動、栄養指導方法を開発すること、保健指導に必要なエビデンスを明らかにすること、大、中、小の事業場規模に適した保健指導の提供システムを提唱することを目的とした。
研究方法
保健指導方法では、禁煙指導技術の評価、運動指導の効果、食物摂取頻度調査法の妥当性を検討した。エビデンスの構築では、大規模前向きコホート研究を行った。大、中、小の事業場では、保健指導のあり方を検討した。
結果と考察
禁煙指導技術の解析、禁煙指導ガイドライン作成のための基礎的検討を行った。積極的な健康づくりに取組む時点における健康状態やストレスの程度が大きく関与することが示唆された。米飯のみ個人別ポーションサイズを適用し、米飯以外の質問項目にはある特定の値をポーションサイズとして対象者全員に適用しても良いと考えられた。
運動4分後の収縮期血圧および拡張期血圧高値群は高血圧の有意に高い発症を示した。喫煙習慣および、BMI22.0-23.9 kg/m2の群は対照に比して2型糖尿病の有意に高い発症を示し、運動を定期的にする群、アルコール摂取量が23.0 g/日以上の群は有意に低い発症を示した。
Webを用いた保健指導支援システムは、対面指導とうまく併用することによって、より効果的な指導になり、メンタル面での問題にも対応可能となった。ストレスが身体・精神面にも影響が出ている程度が大きくなるほど自殺念慮も強くなる傾向が認められた。健診1か月前の事前指導は有効であった。小規模事業場では、類型に応じた産業医選任が求められるが、産業医が選任されていない小規模事業場でも保健指導に工夫がなされていることが窺えた。
結論
禁煙指導で模擬喫煙者を用いた指導技術の評価方法の妥当性が示唆された。運動指導で無関心期から関心期への移行の重要性が示唆された。栄養素等摂取量の評価には立体モデル、写真モデルで大差は認められなかった。
運動4分後の収縮期血圧および拡張期血圧が高血圧進展の危険因子であること、喫煙習慣および、肥満の判定で普通に当たる22.0-23.9 kg/m2のBMIが糖尿病発症の危険因子であること、運動を定期的にする群、アルコール摂取量が23.0 g/日以上の群では、2型糖尿病発症のリスクを軽減することが明らかになった。
Webを用いた保健指導支援システム、健診機関による事前指導、小規模事業場の類型に応じた保健指導が有効と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-