医療情報投資の経済的効果推計と投資効果向上インフラに関する研究

文献情報

文献番号
200401086A
報告書区分
総括
研究課題名
医療情報投資の経済的効果推計と投資効果向上インフラに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤澤 由和(新潟医療福祉大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 松山 幸弘((株)富士通総研経済研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療IT投資はどのような経済的な基準から判断されているのか、また、それは果たして意味のあることなのか、という課題に対して「医療IT投資における経済的効果の推計方法の検討」という課題を設定し、また医療ITが組織においても必要不可欠なインフラとされるにはどのような視点が必要かという課題に対して「投資効果向上のためのインフラのあり方」という課題を設定し、これらを明確にすることを本研究の目的とした。
研究方法
 欧米先進国、とくにアメリカ、オーストラリアにおける医療IT投資の現状に関して、現地での実務担当者らへのヒヤリング、研究者らとの意見交換、そして最新のデータベースなど多面的な形で情報を収集し分析を行った。
結果と考察
 他分野と同様に、医療分野においても医療IT投資をもっぱらコスト的な視点、たとえばROIなどを基準としてその効果を検討することに対しては理論的にも海外の調査からも問題とせざるをえないという結論に達した。
 では、医療IT投資をどのような観点から評価すべきかという問題が提起されるのであるが、これまでの調査結果から、医療ITそのものは、組織の経営戦略を実現するためのインフラとして評価するべきであり、それへの投資に関してもコスト的な観点とは別の、戦略の実現への貢献度などによる評価が重要であると考えられる。
 また、現在の医療組織が直面する課題と組織に求められる戦略的課題とは何かという問題であるが、これはアメリカにおけるIntegrated Healthcare Network(以下IHN)の隆盛からも明らかなように、組織単独での戦略的課題から、複数の組織の連携に基づく戦略的課題、つまり「点」から「面」への戦略課題の根本的な転換がなされているといえる。
結論
 日本においても、組織戦略と医療IT投資を関係付けて展開している医療組織が存在する可能性が高い。投資効果が組織戦略の実現度という基準で評価されるとするのであるならば、経営戦略実現のための基本的インフラ整備としての医療IT投資という認識が促されるべきであり、組織戦略と医療IT投資を結びつけることが可能となるようなインセンティブを生み出す環境整備が求められるといえる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-