臨床研修病院における患者安全向上に寄与するEBM教育企画の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401079A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研修病院における患者安全向上に寄与するEBM教育企画の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 俊三(佐賀大学医学部附属病院副病院長)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 葛西 龍樹(日銅記念病院北海道家庭医療学センター)
  • 名郷 直樹(横須賀市立うわまち病院臨床研修センター)
  • 吉村 学(岐阜県揖斐郡北西部地域医療センター)
  • 武藤 正樹(独立行政法人国立病院機構長野病院)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 長谷川 友紀(東邦大学)
  • 武澤 純(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 北井 啓勝(埼玉社会保険病院)
  • 多治見 公高(秋田大学)
  • 上野 文昭(大船中央病院)
  • 鎌江 伊三夫(神戸大学都市安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者の安全をはじめとする医療の質が鋭く問われている今日、医師には、その専門領域を問わず、患者中心の臨床アウトカムを重視するEBM(根拠に基づく医療)を実践することが強く求められている。EBMとは、手に入る最新最良の医学情報を吟味し、患者に特有の臨床状況と患者の価値観に配慮して患者の問題を解決しようとする診療態度を指すが、コミュニケーション能力と共に医療人としての基本的コンピテンシーの一つである。ところが臨床研修指導医の中には今なおEBMの疫学的方法論に馴染めず、EBMを最初から忌避してしまう傾向が残存している。先行研究では臨床研修医を対象としたEBM普及支援のための教育カリキュラム例を試行・検証し、教材を開発してきたが、本研究では研修病院の教育現場で応用可能なEBM教育企画の開発を目指した。
研究方法
先行研究では臨床判断上の特性に従って類型化した、定型患者(85%)、複雑患者(15%)、例外患者(5%)のそれぞれに適合したエビデンスの活用を目指して、EBM講習会の開催と教材の開発を行ってきたが、本研究では、研修病院におけるEBM教育の機会として、①早朝(申し送り)カンファレンス、②症例検討会、③文献抄読会、④退院時サマリー記載、⑤学会等での症例発表、等を念頭に置いて、研修医のニーズを把握し、臨床教育の現場で応用可能なEBM教育手法上の工夫を抽出することを目指した。
結果と考察
平成16年11月に開催した「臨床研修指導医のためのEBM講習会(東京都)」で、研修現場でのEBM教育の模範例を紹介すると共に、ワークショップ形式で研修医のモチベーションを高め維持する工夫について演習を行ったが、現場の指導医から、時間の活用法、文献の選び方、研修医との接し方等について示唆に富む工夫が紹介された。また、神戸大学病院(平成17年2月)、音羽病院(京都市、同3月)において研修医を対象とした講習会を開催し、時間的制約のある研修医にEBMを浸透させるための教育技法上の工夫について多くの知見を得た。
結論
研修医の間にEBMを浸透させるためには、標準的な教育カリキュラムと教材を用意すると共に、研修環境に応じた教育技法上の工夫が必要である。また、日頃ITに親しんでいる若い医師には、EBMの手法は比較的受け入れられ易いことも判明した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-