シミュレーションシステムを用いた歯科技工士資格試験の客観的評価方法に関する研究

文献情報

文献番号
200401075A
報告書区分
総括
研究課題名
シミュレーションシステムを用いた歯科技工士資格試験の客観的評価方法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
研究分担者(所属機関)
  • 田上順次(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 杉上圭三(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
  • 尾崎順男(日本歯科大学附属歯科専門学校歯科技工士学科)
  • 福間正泰(大阪歯科学院専門学校歯科技工士学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科技工士資格試験の実地試験において信頼性、公平性、効率性の高い評価システムを構築するにあたって、受験生が製作した課題モデルの非破壊的な三次元形状計測データと前年度に行った評価者による評価結果とを比較し、両者間の一致度について検討することによって、資格試験における評価の客観性を見出す。
研究方法
受験生モデルの全部鋳造冠蝋形成と人工歯排列の2課題について非接触三次元形状計測装置を用いて評価ポイントの計測を行い、計測データをもとにコントロールモデルとの形状比較を行った。一方、前年度研究において概略的評価値と細分化評価値の相関が最も高かった評価者データから評価ポイントを考慮して120名の学生点数の評価平均値を求めた。三次元計測の座標データから求めた評価結果と評価者データから求めた評価結果について線形モデルおよびニューラルネットワークモデルによる多変量解析を行った。
結果と考察
三次元計測データにおいて受験生モデルとコントロールモデルを比較すると、全部鋳造冠蝋形成では中央窩と近遠心コンタクトの位置はほぼそろっていたが、遠心小窩の位置はばらつきが大きく、学生モデルでは最大豊隆の位置が下方にあった。人工歯排列において歯列弓形態の曲率は上下顎ともに近似していたが、中切歯の位置のばらつきが大きかった。多変量解析の結果、全部鋳造冠蝋形成において概略的評価結果に対して線形モデルの予測値は平均誤差9.5、ニューラルネットワークを用いた非線形モデルの予測値は平均誤差0.8、また細分化評価においては同様に線形モデルでは平均誤差7.8に対してニューラルネットワークでは0.1で極めて一致度が高かった。人工歯排列においては概略的評価結果に対して線形モデルの予測値は平均誤差11.4、ニューラルネットワークでは9.2、細分化評価では線形モデルの平均誤差7.8に対してニューラルネットワークでは6.6であった。実地試験における課題の解析評価は、評価項目の相関係数も小さいことから、線形モデルよりも非線形モデルのニューラルネットワークで評価することの有用性が示唆された。
結論
実地試験の客観的評価を行うにあたって、評価者による点数評価の結果と三次元計測による計測データの結果を比較し、解析を行ったところ、線形モデルの解析では誤差が大きく、両者の関係を線形で表現するのは困難であり、ニューラルネットワークのような学習型の非線形モデルによる多変量解析が適していることが判明した。 

公開日・更新日

公開日
2005-07-11
更新日
-