医療事故防止のためのヒヤリ・ハット事例等の記述・情報の分析に関する研究

文献情報

文献番号
200401071A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故防止のためのヒヤリ・ハット事例等の記述・情報の分析に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
嶋森 好子(京都大学医学部附属病院 看護部)
研究分担者(所属機関)
  • 川村 佐和子(東京都立保健科学大学 在宅看護学 看護管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療現場の事故防止のために早急な対策が必要と考えられる7つの分野について、ヒヤリ・ハット事例等の記述情報分析を行い、現場に生かせる具体的な対策を提案することである。
研究方法
厚生労働省医療安全ネットワーク整備事業“ヒヤリ・ハット事例等の記述情報“として報告された事例(平成15年11月26日~16年11月24日までに報告された事例)について分析した。記述情報は、3ヶ月毎に、日本医療機能評価機構に報告され、マスキング後に厚生労働省を通して研究班に送付された。これらの記述情報の中で報告事例の多い、①注射・点滴・輸血等②チューブカテーテル類③内服・外用・麻薬④転倒・転落・抑制⑤機器及び機械操作⑥検査⑦食事・栄養の7分野の記述情報について分析した。分野毎に医療職による専門的な検討班を設置した。記述情報の内、①重大性、②複雑性、③教訓性、④汎用性の観点から重要と思われる事例を選んで、防止策に関するコメントを作成した。分析結果は、各班代表者にヒューマンファクター研究の専門化を加えた班代表者会議で検討した。結果は、厚生労働省の事例検討作業部会に報告し検討を経て厚生労働省のホームページに紹介された。
結果と考察
いずれの分野でも、安全な医療を提供するための適切な業務プロセスの構築がなされないためのエラーが生じていた。また、適切な業務プロセスの構築がなされている場合でも、これを遵守できる環境が整っていないためのエラーが生じている。
 記述情報分析結果から、各分野の業務プロセスの改善点を明らかにした。これを踏まえ、それぞれの現場において、安全のための適切な業務プロセスを構築し、これを遵守できる環境の整備に努力する必要がある。
結論
厚生労働省が行ってきたヒヤリ・ハット事例の収集分析事業は、安全な医療を提供する上で解決すべき課題を明らかにしてきた。しかし、医療の高度化は著しく、新しい薬品や治療法のリスクはさらに高くなって来ている。今後は継続的・専門的にヒヤリ・ハットの記述情報分析を行い、現場に行かせる具体的な提言を行なう体制作りが必要とされる。また、このような分析事業によって早急に取り組む必要があると認識された安全対策については、速やかに現場に浸透させルール化できるようなシステムの構築が必要である。安全のための最良の業務手順の構築、さらにはこれを遵守して医療の安全を図るという風土・文化の醸成が重要と考える。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-