自己免疫検査の効率的利用法の研究

文献情報

文献番号
200401065A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫検査の効率的利用法の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
熊谷 俊一(神戸大学大学院・医学系研究科臨床病態・免疫学)
研究分担者(所属機関)
  • 大田 俊行(産業医科大学 中央臨床検査部)
  • 赤星 透(北里大学医学部 臨床検査診断学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
リウマチ・膠原病関連の検査として、RF、抗核抗体などの従来から用いられる検査法に加えて、多種多様な新しい免疫検査法が臨床応用をされつつある。多くはその性能が適切に評価されないまま用いられ、検査結果の誤った解釈による誤診を生じ、また不必要な検査の増加が医療経済上も問題となっている。膠原病関連の各種自己抗体に関して、施設間差・試薬間差の解消や、疾患に応じた効果的な利用を推進するためEvidenced Based Medicine (EBM) /Evidenced Based Laboratory Medicine (EBLM)の考え方に基つくガイドラインの作成を図る事により、より正確でより効率の良い膠原病診断に繋げる事を目的とした。
研究方法
上記目的のため、今年度は大きく分けて1)試薬間差・施設間差の現状に関する調査、2) 現行の自己抗体の評価・検討、3)ガイドライン作成に向けた膠原病患者データ収集を行った。
結果と考察
1)については、①抗ENA抗体の陽性率はキットにより若干異なっていた。②市販RF測定試薬4種の試薬間の一致率は84〜95.7%であり、RF測定値には2倍程度の施設間差があった。③全国規模のアンケートからもRFの測定方法、測定基準値には、想定以上の大きなばらつきが存在した。2)については、①各種RAマーカーの中で抗CCP抗体は特に感度が高く、RAマーカーを組み合わせることでより高い感度・特異度での鑑別が可能であった。また、3)のための患者データ収集を開始した。
以上の結果から、自己抗体の効率的な運用に関する実践的なガイドラインはまだ作成されておらず、膠原病診断率の質の向上ためにはEBM/EBLM的な手法を駆使したガイドラインの作成が必須と思われる。しかし、自己抗体の精度について、看過できない試薬間差や施設間差が存在することが本研究から明らかとなり、全国規模で標準化を行う事は、当面の急務であると考えた。更に本研究ではEBMの手法を用いてのガイドライン作成を開始している。
結論
本研究を継続して行うことにより、各種自己抗体検査の標準化及び自己抗体の運用法に関するガイドライン作成がなされ、自己免疫検査のより適切かつ効率的な利用法確立に向けての有益な一助となりうる。その結果、膠原病診療の質の向上やそれに伴う誤診の低下、また不必要な検査の減少による医療費の抑制が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-